夏が過ぎ、少しだけ過ごしやすい季節になってきました。園庭ではプールがなくなり、元気に鬼ごっこをしたり運動に取り組む子どもたちの姿が見られています。気付けば秋になり、また一つの季節を越えて成長した子どもたち。つい最近、遊んでいるところで素敵な姿が見られました。
幼児組の室内で積み木で遊んでいた子たちが、立体的な建物を作っていました。建物はどんどんどんどん、あっという間に子どもたちの高さまで積み上がり、背伸びをしてプルプルしている子もいました。大丈夫かな?と見ていると、そこは器用に積み、とうとう手の届かない高さまで大きくなり、台を持ってきての建設となっていきました。初めは登っては降り、みんなで順番にやっていましたが、一人の子が気づきました。
『僕、下から渡す!』そう、一緒にやっていても一人ひとり順番に行っていたことを協力してやろうと考えたのです。そこからは流れ作業のように箱から出し友だちに渡す子、渡された物を台の上の子に渡す子、渡された物で積み上げる子。なんという素晴らしい助け合いでしょうか。
きちんと役割を考え協力する子どもたち、時には『そろそろ変わろうか?』と立ち位置を変え、喧嘩にならない工夫も見られていました。
そしてついにその時が訪れます。完成、ではなく、積み木が無くなる時が・・・。すると、近くに落ちていた物を探す子や、近くの友だちに『少しだけ貸して』と交渉する子など、様々な工夫をし、ついに完成していました。完成した建物を見てみんな達成感を感じ、キラキラとした表情を見せてくれました。
平面的な物から立体的な物になるだけでも配置のバランスを考えるなど大きな成長が見られます。しかし、それだけではなくどうしたら上手に出来るかと考え、時には一緒に遊んでいる友だちの気持ちを考え、足りなくなったら交渉する。たった一つの遊びですが、イメージした物を具現化すること、みんなで協力してやろうという協調性、相手を思いやる心、様々な工夫、こんなにたくさんの成長が起こっています。
今後も遊びを通して、友だちと関わることを楽しむ中で起きる子どもたちの成長を見守っていきたいと思います。
鈴木 辰則