発達は、知識と違って、早くすればいいというものではなく、人生においてその時期その時期が大切であり、何もないところに何かをつけていくということではなく、遺伝子に組み込まれた発達の要素が、その時期の表出してくるものを、より確実に良い環境を通してしていくものです。ということで、それが現れる時期に、その発達を促す環境を用意する必要があります。
子どもたちは、人生において、様々な人と出会い、人々の中で学んでいきます。特に、小学校に行くと、社会人としての知性を学んでいきます。そのために学習があります。しかし、このような学びには、基礎が必要なのです。土台が必要なのです。それがしっかりできていないと、その後の学習が身に付かないのです。その基礎を、生後間もなく学び、築かれていくのです。このような報告書を紹介します。
「国立臨床幼児教育センターが発表した報告書は、“学校の成績が伸びるかどうかは、知識の蓄積や早熟な読解能力よりも、むしろ情緒的・社会的能力による。”と指摘している。自信や興味があること。自分にどのような行動が期待されているかを知り、衝動をコントロールできること。待てること。命令に従えること、教師に助けを求められること。自分の要求を表明しつつ、他の子どもと仲良くできること、こうした能力の方が重要だ、と指摘しているのである。」
「あと伸びする力」ということがよく言われます。就学前教育は、就学後の教育を先取りして早くやることではなく、就学後に伸びるような基礎を学ぶことが必要であるということです。このあと伸びする力は、知識の蓄積や早熟な読解能力ではないのです。
幼児期に、子どもが多くのことを知っていると大人は喜びます。大人顔負けのことを知っているとなおさらです。また、難解な文字、文章を読解できると、すごいと感動します。「うちの子、天才かしら?」と思ってしまうことも。しかし、それらは、学校に入ってからの成績にはあまり関係ないようです。多くのものを知っていること、難しい文字を読むことができる能力は、のちの成績には結びつきません。小学校に入学して、成績に関係してくる力は、情緒的な能力とか、社会的能力だということが、研究の結果わかりました。乳幼児期に子どもたちにつけなければいけない力は、情緒的能力とか、社会的能力なのです。
子どもの成長は見えにくいものです。また、どのような関わりをすれば良いかという事も分かりにくいです。しかし、小さいうちからの愛情たっぷりの関わりこそ、子どもには一番大切なのです。その上で、正しいことは正しいと、間違ったことは間違っているという事をしっかりと教え、友達との関わりが上手に出来る方法を教えてあげることが大切です。そのような関わりをしていくうちに、自然と「あと伸び」して、自ら課題や目標を見つけ進んでいくような、探究心や好奇心旺盛な子どものに育っていくのです。
なので・・・大人は焦らず、のんびり、日々の関わりを大切にしていきたいですね。