最近、ベビー用品を取り扱うお店に行くと、様々な種類のおんぶ紐・抱っこ紐があります。流行りのエルゴのような対面式のものもあれば、海外でよく見る前向きの抱っこ紐のタイプのもの、そして、伝統的なおんぶ紐やスリングタイプのものなどです。もちろん2WAY3WAYと言った多様なタイプのものも多いですが、育児雑誌にもさまざまな物が取り上げられて、どんどん新しいものが出回ってくるので、どれを使ってよいのか分からなくなってしまいます。
そのような中で保育園では、緊急時でもつけやすいという事と同時に二人以上の子どもを抱きかかえなくてはならないという理由から、伝統的なシンプルなおんぶ紐を使用しています。実はこのおんぶと言うスタイルは子どもにとっても良いと近頃見直されています。それは、大人と同じものを見るという「共視」の経験がいいのです。例えば、畑仕事をしている時、料理を作っている時にお母さんがたまに振り返って「これは人参だよ!」等赤ちゃんと同じものを見ながら、話しかけていると、共に見て、共に感じるという共感が出来て、安心感へとつながっていくのです。だから、赤ちゃんは一人で遊んでいる時にも、保護者が自分をいつも見ていてくれているという安心感というよりも、自分と同じものを見ていてくれているかという安心感を求めている気がしています。
自分が感動した時、驚いた時にお父さん、お母さんと一緒に分かち合いたいのですね。大人と一緒ですね。ワールドカップの感動も是非とも一緒に分かち合って見てください。
(おたよりの続き)
日本における三大スキンシップというものも「おんぶと抱っこと添い寝」だったと思っています。しかし、この三つが、育児の西洋化によって少なくなっています。赤ちゃんはベビーカーに乗り、ベビーベッドで、一人で寝ることが多くなりました。それに対して人類はどういう子育てをしてきたのでしょうか。
以前にも書きましたジャレド氏が伝統的社会を調査した結果、たとえばクン族の赤ん坊は、生後1年間の90%を、母親やその他の介護者とのスキンシップに費やしているそうです。クン族の母親は、どこに行くにも子どもを抱いています。母親が抱けない間は、誰か他の大人が子どもを抱っこします。ここで、面白いのですが、当然赤ちゃんは母親と長くいるであろうと思っていたのですが、実際は、クン族の子どもが母親以外の介護者と接する時間の方が、現代の西洋社会の乳幼児と、母親を含む大人とのスキンシップ時間よりも長いそうです。そして、生後1歳半ほどになると、頻繁に母親のもとを離れるようになりますが、それは、他の子どもと遊びたいがための行動であって、親離れのタイミングも、子どもが主導権を握り、自然に決まることが多いようです。
では、伝統的社会と比べて近代的な社会では同でしょうか?続きは次回です。
近代的社会のスキンシップについて7月15日頃載せます。