赤ちゃん研究

「間」

2017.04.01

    暖かな春の陽気と共に、今年も大勢の新入園児を迎えることが出来ました。この「園長日記」では、木月保育園で大切にしている保育について、専門的な内容を載せるようにしています。ちょっぴり難しい時もありますが、子育てのヒントになる内容もあると思いますので、是非ともお読みいただきたいと思います。
    さて、今日からの1ヶ月、新入園児の赤ちゃんは、毎日よく泣いて生活するようになるとは思いますが、赤ちゃんと接する上で「間」の取り方はとっても大切です。大好きな両親から離れ悲しくて泣くのは当然ですが、それ以外にも、この「間」の取り方が違う先生に戸惑っているのかもしれません。家では「つー」といえば「かー」とできていた関係が、また新たに築いていかなくてはいけないのですから大変です。先生たちも一人一人違うこの「間」を見つけ出し、それに合わせていくことで、赤ちゃんが少しずつ安心して過ごすことができるようになってきます。
のんびり屋さんな子、活発な子、今年もたくさんの子どもたちと出会えることにワクワクしています。1日も早くこの子たちの「間」を見つけ出し、楽しい園での生活を送ってもらいたいと思います。

(おたよりの続き)
 「間」についてのこんな研究があるようです。それは、コミュニケーションを通して「間」が重要な役目を果たしているということを、赤ちゃんとお母さんのコミュニケーションを通して明らかにしたものです。
 まず、赤ちゃんとお母さんをビデオカメラとテレビモニターを介してつなぎます。赤ちゃんはテレビに映ったお母さんの顔を見ることができ、お母さんもテレビモニターに映った赤ちゃんを見ることができるようにします。お母さんが話しかければ、赤ちゃんはそれを聞くことができますし、赤ちゃんのつぶやきをお母さんが聞くことができます。そのとき、映像と音声に時差を与えてみます。赤ちゃんは、時差がゼロの時は、お母さんが映っているモニターを注視します。そして、そのお母さんに対していろいろな語りかけをしているように見えます。しかし、このお母さんの映像に時差を与えて、数百ミリ秒から数秒遅らせた過去の映像を見せると、赤ちゃんに対するお母さんの反応が遅れることになります。この時差を両者の間に入れると、赤ちゃんがモニターに注意を払う時間が短くなります。つまり、時差がある場合には、赤ちゃんとお母さんの間に双方向性のコミュニケーションが成立しにくいということになります。
 なぜ、このようなことが起きるかというと、おそらく、両者の間に発生しているコミュニケーションの流れが、人為的な時差によって断絶するからではないかということを、「予測脳」についての著書を出している、ずいぶん前に話題になった理化学研究所の研究センター適応知性研究チームのリーダーである藤井直敬さんは考えています。
朝のニュースで、海外で起きた事故の実況中継をテレビで見ていますと、最近はよくなっていますが、かなり現地のアナウンサーとスタジオとのやりとりに時差があることがあります。すると、分かってはいても、聞いていて、その流れがスムーズではなく、わかりにくくなってしまう気がします。この時、コミュニケーションの流れを維持するのには努力が必要ですが、赤ちゃんの場合、それがいったん途切れてしまうと、注意を維持し続けることは難しいと藤井さんは指摘します。
 赤ちゃんと接する時に、テレビを見ていたりスマートフォンをしながらだと相手にしてもらえなくなってしまいますね。今しかない大切なこの瞬間を逃さないようにしましょうね。

「間」の取り方について4月15日ごろHPに載せます

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