赤ちゃんの脳は、生まれて間もなく、大人と近い大きさに達し、大人以上にその回路は複雑です。だからと言って、当然、なんでも大人よりできるわけではありません。まだまだその道は整備されておらず、くねくねと曲がり、細く、通りにくさもあります。しかし、赤ちゃんの知的な活動は大人より活発で、想像力や学習能力は大人よりはるかに高いのです。赤ちゃんは大人より多くの情報を収集し、自由に発想する能力は持っていますが、まだ、概念や分類で整理されておらず、抽象的なカテゴリーに情報を整理することはできません。情報や発想は、一つ一つ具体的に考え、思考力も記憶力もあるのですが、記憶として系統的に分類はできません。それが、次第に言語を習得するにつれて自由な思考は概念化され、いろいろな行動を自分の行動の記憶として残り、それに対する責任を感じるようになっていきます。つまり従来の幼児教育が想定しているように、大人は幼児という白紙に知識を描いていくのではなく、無秩序で豊かな子どもの想像力を、社会のルールで整理し、具体的な形に整えていくのです。
赤ちゃんは、科学者と同じ推理力を働かせ、想像力は豊かで、つねにトライ&エラーを繰り返しながら現実把握にいそしんでいると言われています。ある意味、大人より賢く、想像力に富み、思いやりがあり、意識も鮮明であるともいわれています。そんなことが最新科学の知見から、次々に明らかにされつつあります。
子どもはいつも無数のアイデアを提案しますが、実はほとんどのものは使えません。実行可能な案はほんのわずかです。それでも、斬新な変革能力、それをもたらす創造力と学習能力は圧倒的に大人より優れているのです。世の中で、天才と言われる人は、多くは、自由な発想をいつまでも持ち続けてきた人かもしれません。
赤ちゃんの能力
2011.08.13