子どもたちが数を認識するのは、五感を使ったさまざまな場面で行っていることは容易に想像できます。しかし、それを証明することが困難でしょう。どのように認知しているかを何によって判断するかということが課題になります。世界では、その実験をさまざまな方法で行っているようです。多くは、視線の先がどこを向いているか、何を目で追うか、どのように追うかを観察します。また、吸てつ反応と呼ばれる実験方法があります。それは、赤ちゃんがおしゃぶりを吸う率をはかるものです。
このようなさまざまな方法で赤ちゃんの数の認識を調べているのですが、そのことから、赤ちゃんは音の数と目の前にある物体の数と1対1対応をつけていることがわかっています。すなわち、赤ちゃんが物体を三つ見せることと、音を三つ聞くということと、脳の中では同一反応するようです。
赤ちゃんは数に関する天賦の才を持っていますが、だからといって、幼い子どもを数学の夜間授業に参加させるべきだといいたいわけではないと警告しています。生まれて1年の間に、アラビア数字で書かれた計算式や、さらには日本のひらがななどを赤ちゃんに呈示すると、知能を引き上げることができるなどといううたい文句を武器にして商売をする詐欺師がかなりいますが、それは、まったく根拠のない話だといいます。というのは、たとえば、赤ちゃんが1と2と3の計算はできても、4をこえる数に対しては正確に計算できなくなるなど、赤ちゃんの能力は、最も初歩的な算術に限られているからです。
では、最近までの研究でわかっていることは、「人間の赤ちゃんは生まれながらに、物体を個別化し、小さな集合に含まれる数を抽出するメカニズムを備えていること。」「この“数覚”は動物にもあり、それゆえに言語とは独立で、長い進化の歴史を持っていること。」「子どもでは、数の推定、比較、数えること、単純な足し算と引き算はすべて、明確な指示なしに自然に現れてくること。」「脳の両半球の下頭頂野は、数量の心的操作を司る神経回路を持っていること。」のようです。
「数覚とは何か?」という本を訳した長谷川眞理子さんは、あとがきで、「本書では、私たち人間の数の理解の根底には、生物進化の歴史で身についた重要な能力が横たわっていることを示している。それは、自分たちを取り巻く環境、自分たちが住んでいる世界を理解するための手段である。これらの感覚情報に基づいて、動物は自分たちの世界を構築する。それと同じように、数に関する直感的感覚があるのだ。」それが、名づけて「数覚」というのです。そして、最近、赤ちゃんの「数覚」についての研究がされてきているのです。
赤ちゃんの感覚として数字を理解することが出来るというのは驚きですね。いつも思うことは、やっぱり赤ちゃんは天才だなということです。
「数を認識??」
2017.03.15