食育

食育ってなに・・・?

2010.10.29

 4月からもう半年が過ぎ、ひよこ組の子ども達も色々なことが出来るようになってきました。また、隣で生活するあひる組の子ども達も、お兄さんお姉さんぶりを発揮している姿を見かけるようになりました。そこで、食事の時間、数名がひよこ組のテーブルに行き、上手に食事をするお手本として入いることにしました。あひる組の子ども達もひよこ組の子達が気になるようで所々気に掛けながら食事をしています。まだ、始めてからいくらも立っていませんが、あひる組の子達は気がつくと、食事に対する意欲が高まっているように感じます。また、ひよこ組の子ども達も大勢の子ども達と一緒に食べることが楽しくなってきたようで、笑顔で毎日の食事を楽しんでいます。大人にやってもらうのではなく、みんなが美味しそうに食べているのを見て思わず手を出してみたり、上の子の様子を見て、食具使用を模倣したり自然と子ども達が育っていく姿を見ていると子ども達が本来持っている力を感じますね。子どもはすごいです。

おたよりの続き
 最近、食事をみんなで一緒に食べることによる社会的認知的発達が、自己と他者理解に効果があるのではないかということを、香川大学の川田学準教授が「食の中の模倣過程と自他関係の形成」ということで発表しています。みんなで食べる意味を社会性の発達の中で重要であるとするのは、とても面白い観点だと思います。いままで、みんなで一緒に食べることで食欲が増すということは知られています。また、最近、他の人と食べることで味覚が変わることもわかってきています。いわゆる、たくさん食べようとする意欲が生まれたり、好き嫌いがなくなるのは、みんなで食べることによるということが分かってきているのです。
 最近、どこでも「食育」ということが言われており、新しい学習指導要領、幼稚園教育要領、保育所保育指針にも食育が取り上げられ、食の営みとして見直されてきています。一方、一時期、家族の生活リズムの違いから子どもたちが一人で食事をするという個食や孤食が問題になり始めました。また、孤食をさびしいと感じずに、好むようになってきた子どもたちも問題になってきています。また、一緒に食卓で並んで食べていてもそれぞれのメニューが違う個食ということも問題になっています。また、乳幼児では基本的にはだれかに食べさせてもらわなければなりませんので、孤食はないのですが、母親と乳幼児2人きりで食事をするというケースが多いようです。
人類学的視点から見たヒトの食は、「人間は料理をする動物である」および「人間は共食する動物である」といいます。複数の個人が集って食事をするという共食が、ヒトの食を特徴づけ、また、人類における家族の起源と共食は深い関係にあり、子どもは家族を中心とした共食環境の中で、食行動や食文化はもちろん、他者理解や社会的ルールを学ぶ機会を得てきたのです。特に、食の基本が形成される乳児期では、多くの発達過程が見える中での食事は、食の自立、食具使用の発達、社会認知的発達においてとても重要であったようです。
最近取り上げられる「食育」は、栄養指導、料理活動、栽培活動での事例が多く、どれも「食材」に焦点が当たっていますが、誰と食べるかも重要です。そういう意味では、少子社会において、幼稚園や保育所で、子ども集団による食事はとても意味があります。特に、乳児からの食事も大人との二人きりで食べることは見直さなければならないようですね。

次回は11月13日頃載せます。

top