先日木月まつりが開催されました。今年のテーマは「親子で昔の遊びにふれ合おう」と言うことで、数多くの伝承遊びを用意し、大人も子どもも一緒になって遊びました。伝承遊びには、遊んでいく中で、多くの要素が自然と身についてきます。例えば“こま”は、紐を巻くための手先指先を上手に使う技術が身につきます。また、友達とのやり取りの中で、技を学び、共に競い合うということもします。時には負けて悔しいと思いまた練習をします。誰に言われるのでもなく、自ら学ぼうとする意欲が育つのです。どの遊びも練習をしなくては出来ないものばかりですが、今回のように、名人や上手に出来るお兄ちゃんやお姉ちゃんにあこがれてがんばるのです。このように保育園では、学校での学びとは違った学びが、日常の中に数多くあります。これらの経験をすることにより、学校での机の上での学びにつなげていくのです。
今度は名人どうしの競い合いをやりたいですね。
おたよりのつづき
子どもは、さまざまな遊びから社会を学んだり、生活の知恵を学んだり、もじやかず、科学を学びます。特に乳幼児施設では、小学校とは異なった学習方法で学んでいきます。小学校で教わる内容である「もじ・かず」の学び方も、遊びと生活の中から学んでいきます。そして、その学びは椅子にすわり、机に向かって学ぶのではなく、子ども同士の関わりの中で学んでいくことが多いのです。
たとえば、文字の中の「ひらがな」を学ぶときに、その文字が一つ一つの音を表していることを知らなければなりません。それは、単語の音節分解を知ることから始まります。小学校1年生の国語の教科書の上巻には、「りす」という単語のわきに「●●」というように2音節であることを示すドットがついてあることが多いのは、まずはそれを理解してもらうためです。これを幼児のころに理解するために遊んだのが、「しりとり」と「かるた」なのです。「しりとり」は、単語の最後の音節を最初に持っていって単語をつくっていくという遊びです。「りす」「すいか」という具合です。また、「かるた」は、文章の最初の単語の頭音の一文字が書かれてある札を取り合う遊びです。
「かるた」のいわれはあまり考えたことはありませんが、「カード」という単語をポルトガル語で表した言葉です。ドイツ語では「カルテ」、フランス語では「カルト」と言っています。このように、「カルタ」がポルトガル語であることや、現在、滴翠美術館に唯一残っている「天正カルタ」の図柄が、初期ポルトガル様式の特徴を持つことから、日本にカルタを伝えたのは、ポルトガル人ではないかと推測されています。今からおよそ400年前、九州各地の港に、ポルトガル船が相次いで入港しました。このポルトガル船が日本にカルタを伝えたということになれば、ポルトガル人が種子島に漂着した1543(天文12)年から、ポルトガル人来航禁止令がでた1639(寛永16)年までの、およそ100年の間に伝わったようです。
遊びの中には、文字数だけでなく、歴史や地理、探究心を増す要素も含まれています。幼いうちは「良く遊び、良く学べ」の言葉通り、いっぱい遊んだほうが良さそうですね。木月まつりの名人さんは、きっと幼い頃に良く遊んだ方々でしょう。素敵な方々ばかりでした。
次回は3月10日ごろ載せます。