「Society at a Glance 2009: OECD Social Indicators」という書籍が、英語版ですが日本でも販売されています。この書籍は、 OECD諸国の国民生活のついてのデータが掲載されていますが、そのなかに、睡眠時間について各国を比較したグラフが掲載されています。それを見ると、各国の睡眠時間はけっこう差があります。人間は、概ね必要な睡眠時間は同じようだと思うのですが、個人差があるように、国によっても違うようです。国では、最も良く眠るのはフランス人で、530分(8時間50分)で、子ども並みの長さです。以下、米国(518分)、スペイン(514分)、ニュージーランド(513分)、トルコ(512分)、オーストラリア(512分)の順でした。
逆に、睡眠時間が最も短いのは韓国で469分(7時間49分)、次いで日本(470分)、ノルウェー(483分)、スウェーデン(486分)、ドイツ(492分)、イタリア(498分)の順になっていました。フランスと韓国の間には1時間もの差があります。
日本人は、韓国人とともに最も眠らない部類に属しています。一般的に睡眠時間は高齢者ほど長くなる傾向があるといわれていますが、両者の間には相関が見られないようです。日本のように高齢者の多い国でも睡眠時間が短い国もあれば、トルコやメキシコのように高齢者は多くないにもかかわらず睡眠時間は長い国もあります。では、日本人の睡眠時間が短いのは、多忙だからではないかと思うと、日本人と同じように多忙国民と見なされる米国人はフランス人に次いで睡眠時間が長くなっており、必ずしも多忙さと睡眠時間は関係なさそうです。
しかし、どうも出生率には関係があるようです。出生率が高い国ほど睡眠時間が長い傾向が観察されます。OECD報告書にある2006年のデータで比較すると、フランス(1.98)、米国(2.10)、ニュージーランド(2.01)、トルコ(2.18)、オーストラリア(1.81)という具合です。ただし、睡眠時間第3位のスペインは、例外的に出生率が低く、1.38となっていますが、スペインの場合は、シエスタ(昼寝)という伝統的な生活習慣ゆえの長時間睡眠だと考えられています。
こうやって見てみると、ヨーロッパとかアジアというような大陸的な事も睡眠時間とは関係ないのが、不思議に感じます。どうしても日本は忙しいというお国柄もついてきて、睡眠時間も少ないようですが、アメリカやフランスのように、睡眠時間をしっかり取っていても、世界の中心で頑張っている国があるなら、日本ももう少しのんびり、ゆったりと睡眠時間を取れたら良いなと思います。
世界の睡眠時間
2012.09.15