日本でも、保育形態として異年齢児保育というものがあります。これは、どうも複式学級に似たもののようです。複式学級では異年齢のかかわりを意図したものではなく、異年齢の子どもたちを一緒に授業をするというもので、保育でも、異年齢の子どもたちを一緒に保育するという形態のように見えます。異年齢で保育するメリットは、教え、教わるという体験をするとか、年長児の行動を見て真似たり、あこがれたり、お互いに刺激を受けるということがあります。それは、大人になるときの準備でもあるのです。
ただ、それは、同年齢でのかかわりを否定しているわけではありません。しかし、それは、正確に言うと、同じくらいの発達の子と遊ぶことの意味と、発達が違う子と遊ぶ意味と、どちらにも意味があるのです。それは、遊ぶ内容によっても、また、何を学習するかによって違ってきます。そのそれぞれの役割を、保育園、幼稚園、学校という施設内と、地域、家庭という中と役割が分担していたのですが、現在は、地域、家庭内でも異年齢で過ごすことがなくなってきたために、施設内で、両方の体験を子どもにさせることが必要になってきているのです。
昔は、師匠の背中を見て仕事を学び、伝承されてきました。しかし、昨今は20~30代の世代では「マニュアルがないと仕事が出来ない人が多い」と言われることがあります。それは、子どもの頃に、人から学ぶことをしてこなかった弊害かもしれません。いつも先生が前に立ち、先生の指示する通りに行い、指示に背くと怒られる。常に事前に見本を見せ、どの子も見本と同じものを作ることを良しと行ったマニュアル的指導。そのような経験をする機会が今の時代は増えているのかもしれません。隣の子の絵を見て同じような絵を描いたり、ブロックや積み木で一緒に制作したり、いつも上手に出来る子にあこがれを持ちながら、何をするにも自分で考え、自分の意思で真似をしながら遊びを覚えていく。そのような経験が出来る場所は、今は家庭ではなく、保育園や幼稚園のような場所だけになってきているのです。
このような時代だからこそ、日々の異年齢児の関わりが必要になってくるのですね。これからも多くの交流をはかる機会を作っていきたいと思います。
今の日本の状況と異年齢保育
2014.06.15