1月より2歳児のりす組の移行が始まりました。1週間ごとに1グループずつ3,4,5歳児のお部屋で生活を初め、そのまま幼児としての活動にも加わっていきます。りす組では移行までは生活習慣の自立をめざし日々保育しています。それは、2歳児頃になると自我が芽生え、子どもからやりたいという気持ちが出てくるからです。また、この時に身に着けた力が幼児組のお部屋に行った時に役に立ちます。
ただし、そうは言っても新しい環境で、大勢の子ども達が生活している幼児のお部屋では、圧倒されてしまう子もたくさんいます。そのような時に頼りになるのは、年長組のお兄ちゃん、お姉ちゃんです。キョロキョロと困っている子がいると、すかさずヒーローのようにやってきて、その子をピンチから救いだし、また元の場所へ戻っていきます。かっこいいですね。このように移行をきっかけに、2歳児は多くの人にやさしくされる経験をし、信頼関係の元である自律性を発達させていきます。
「自立」と「自律」の芽が出てくるこの時期の2歳児の育ちを大切に保育をしていきます。
(おたよりの続き)
日本では、同じ発音である「自立」と「自律」をよく併用して使うことがあります。この二つの力は子どもに求められる力ですが、この関係はどのように研究されているのでしょうか?また、幼児教育を語るうえで、「自立」は重要課題です。欧米の幼児の保護者に、どのようなことを子どもに臨むのかという問いに対して、90%以上は、即座に「自立」と答えます。日本では、「やさしさ」とか「思いやり」「元気な子」などを望むことが多いような気がします。それは、園目標にもみられます。よく見られる園目標に、「優しい子」「思いやりのある子」「人の気持ちがわかる子」「元気な子」のような項目が並びます。しかし、どうしてもこれらの項目は、道徳に結びついてしまいます。
文科省が出している「心の東京革命」のルールのトップにくるのは、「毎日きちんとあいさつさせよう」というものです。挨拶をすることは大切ですが、本当は、「毎日大人は子どもに挨拶しよう」にしたらどうかと思いました。そのほうが、子どもが自発的に挨拶するようになると思うからです。
子どもがごく小さいときに、経験として大人をモデルとして、他者への信頼を築いていきます。自分に挨拶される、自分に優しくされる、自分の気持ちをわかってもらえる、そんな経験が他者への信頼関係を作っていきます。その後、その信頼関係の元、自律性を発達させると言われています。他者と信頼関係が築かれると、例えば、あいさつしなければならないという自律性が生まれてくるのです。そして、自律性が達成されると、次の段階の肯定的なパーソナリティ傾向である自発性が開花してくると考えられているのです。すると、自分から、挨拶しようという気持ちになるのです。させられてももちろん挨拶はするようになるでしょうが、そこには、心がこもらないようです。
「心を育てる」という言葉はよく聞きますが、小さいうちからの関わりをしっかりと持ち、「自立」と「自律」の二つの基盤を身につけていかないと、「社会性」が身につかず、心は育っていかないのかもしれませんね。
2月15日ごろこの続きを載せます