遠い、将来まで視野に入れて己の行動を選択する場合、他人を信頼する行動を選択するほうが理にかなっているということを、クレアモント大学のポール・ザック博士は、その選択についてこう説明しています。「私たちには、対立する二つの分子があります。テストステロンとオキシトシンです。おそらく過去20万年の間、この二つの分子は一緒に働いてきました。一緒に働き、私たちの体の中で、道徳の陰と陽の両方を私たちに与えているのです。」どうも、この二つは、私たちの心のなかにある天使のささやきと悪魔のささやきのようです。オキシトシンは私たちにこうささやきます。「この人は価値があるよ。この人と双方に利益がある関係を作り出すべきだよ」と。一方、テストステロンは、「こっちは相手を信頼しているのに、相手は返報しない。やっつけてやるべきだ」とささやきます。
ザック博士は、「状況が適切なら、私たちは協力を築き、他人を信頼することが出来ます。状況が適切なときとは、テストステロン量があまり高くないときです。このような状況でないと、私たちは初期設定の古い進化的行動に戻ります。つまり攻撃的で利己的な行動です。」つまり、自己の生存がすべてですから、相手から奪う、相手を傷つける、必要とあらば、何でもするということになるというのです。そんなテストステロンに拮抗する勢力としてオキシトシンを私たちは発達させたといいます。そのバランスのなかで人類は歴史を積み重ねてきたと博士は指摘します。
どうも、私は、適切な環境の下で育てられていないと、他人を信頼することが出来ず、利己的、攻撃的な行動をしてしまうような気がします。そして、そのような人たちは、将来を見通す力が弱く、その場だけの快楽を求めたり、その場の感情によった行動をしたり、それは、人間としての進化が遂げられていないということになるのでしょうか。
適切な環境下とは、つまり、養育者との愛着関係に始まり、多くの大人との関わりを起点とした子ども同士の関わりの中で生まれてくる信頼関係です。この関係は乳幼児期での関わりが特に重要になってきます。今の一瞬一瞬を大切にしながら、子ども達との関わりを丁寧に行いたいですね。みんなで頑張っていきましょう。
天使と悪魔のささやき
2013.01.15