人との関わり

協力的なコミュニケーション

2016.07.15

 チンパンジーのそれと対照的に、人間のコミュニケーションの動機はあまりにも根本的に協力的なため、私たちが相手を助けるために物事を教えるだけではなく、相手に物事を要求する主要な手段として、自分の要望を知らせておいて、相手が手助けを自発的に申し出るのを期待する、という方法をとるというのです。具体的な例としてトマセロはこんな例を挙げています。「私はいっぱいの水が欲しいと述べる(自分の要望を相手に伝える)だけで、水を要求することができます。それは、たいていの場合あなたが人を助けたいという傾向を持っており、この知らせるという行為が事実上完全な要求に変わることを私は知っているからだ。」と言っています。
 このような例は面白いですね。確かに、「水を持ってきて!」と言わないで、「水が欲しい!」と言えば、持ってきてくれます。要望が要求に変わります。それは、要望を聞くことで、相手は自発的に持ってきてくれるだろうと思うからです。このように人間のコミュニケーションは根本的に協力的な営みであり、相互に想定された共通概念基礎と、相互に想定される協力的コミュニケーション動機のコンテクストで、最も自然にそして円滑に機能します。
 このような、人間のコミュニケーションが本質的に協力的な性格を持つということが言われています。人は、知らず知らずに相手を助け、みんなで協力して生きていこうとしているのですね。
  このように人に備わっている力が日常の中でどんどん出てくるように、我々大人も、「助け合い」の精神を忘れてはいけませんね。木月保育園の子どもが守るルールの一つにも「困っている人がいたら助けよう」とありますので、子ども達にも、益々、助け合って生活してもらいたいと思います。

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