私たちが、子どものころは「日本は発掘可能な天然資源をほとんど持っていない島国である」と聞かされてきました。ですから、工業を発展させ、技術革新が必要なのだといわれてきました。また、このような環境や生活条件によって、日本人は、個人の幸福を超えた集団の幸福、そして集団に高い価値を置くようになったかもしれないと、「PISAから見る、できる国・がんばる国」という報告書の中で、日本について分析しています。そして、集団への無批判な愛によって包み込まれるというこの感覚は、「和」という、日本社会においてきわめて重要な概念であるといっています。この「和」は、幸福に不可欠なものとして、生涯のあらゆる段階、つまり最初は母親との間、次に残りの家族、学校や大学での友達、仕事場での同僚や上司との間で求められるとしています。
この「和」を大切にすることが、人同士の関係を良好にするものであればいいのですが、この報告では、それは少し違うように働いていると書かれています。「そのような環境の中では、個人は集団から高く評価されることによって尊敬を得られるのであり、個人の行いが集団の調和を脅かすならば、社会的制裁は広範囲にわたる影響を伴う。もし、ある集団の信望を失うならば、別の集団と和を確立することがさらに難しくなるのである。」このような文化的要因が、自分が所属する集団とのよい関係を維持するために必死に働くという日本の特徴が説明できるとしています。
このような価値観は、仕事場にも浸透しており、日本においては概して同僚の尊敬や承認を得るために、人々は一生懸命に働くとよく言われているようです。個人の名誉ではなく、むしろ集団の利益のために懸命に働いているというのです。日本の労働者は、「怠ける」ということをあまりしないのは、上司が監視しているというよりも、彼らの仲間や後輩の職員も監視しているからだといいます。
なんとなく、外からどのように日本人を見ているかということを読むと、私たちが当たり前だと思っていることが、珍しいことであるようですね。出来れば、この日本の特性を、良い方に持っていくために、その特性を否定するのではなく、きちんと理解することが先ず必要でしょう。そして、上辺だけのお付き合いではなく、相手のことを気遣う真の「和を以て貴し」な関係を築けたら良いですね。
みんなと仲良く出来るように、子ども達も日々勉強しています。
世界から見た日本の「和」
2012.10.12