今回は0歳児のクラスを覗いてみました。この日は天気が悪く、お部屋と廊下をすべて開放し自由に遊び回れるようにしていました。私がお部屋に入っていくと、見慣れない人が入ってきたので、数名の子ども達はキョトンとしながらも、私のほうをじっと見つめていました。そして、部屋に入るなり、積み木を手に取り遊ぶ様子を見せるようにしてみました。すると、視線は積み木に釘付けになりました。もっと興味を惹き付けようと積んでは壊し、積んでは壊しを続けて行っていました。Aちゃんを見てみると、Aちゃんが段々と積み木の近くに寄ってきて、積み木を手に取りました。ジロジロと見たり、時には振ったり(0歳児の積み木は振ると音がなるようになっている)し始めました。私も続けて積む壊すをしていると、今度は積み木を積み始めました。しまいには、積んで壊すを私と一緒にやりながら、笑顔で一緒に楽しみました。
このようなやり取りをしていると、今度は、Bちゃんがやってきて、私とAちゃんの関わりをじっと見つめています。私はすかさず積み木を「はい」っと渡すと恐る恐るそれを取り、積み木をじっと見つめながら、やはりAちゃんと同じように振り始めました。そして、そのまま輪に入り、一緒に積み木を積んで壊す遊びを楽しみました。
0歳児の発達では、今回のようなやり取りはとても大切で、大人とのこのようなやり取りから、少しずつ子ども同士のやり取りへと繋がっていきます。赤ちゃんだと思っていたのはいつの話だろうと思ってしまうほど、子ども達は日々成長しています。こんなにかわいい姿は今だけです。裏を返せば、今しかこのような関わりは出来ません。どうか短い時間でも、今の育ちを大切にしながらいっぱい関わりを持って行きましょう。
(おたよりの続き)
積み木を子どもに用意した時に、乳児はその形、素材を確かめるかのように「見つめ」「触り」「舐める」ことをします。そして、積み始めます。その後の行為は、保育園でなければなかなか見ることができないことをし始めます。それは、赤ちゃんは「積み木を見つめる」ということを、自分の目の前の積み木だけでなく、他の子が触れている積み木を見つめるのです。そして、それを触ろうとします。同じものが自分の目の前にあろうが、他人のものに触ろうとします。これは、大人になると、「隣の芝生は青い」と言われるようなことに近いように思いますが、どうも、社会を構成して生きていく私たちの遺伝子で、関わろうとする芽生えのような気がします。 また、その行動は、時として、あたかも人が遊んでいる積み木を奪うかのように見えます。しかし、奪うという意識はなく、まだ、自分のものと他人のものという区別がないだけで、それ以上にそのものへの好奇心がそのようにさせるのです。しかし、奪われた方は、せっかく自分が遊んでいるものを取られてしまうわけですから、きょとんとするか、泣いてしまいます。そんな時に大人は喧嘩しているとか、意地悪しているとか思ってしまうことがありますが、ただそのものに興味を持つだけです。しかしこのやり取りは、将来に役に立つ、非常に需要なことなのです。
将来必要な関わりについて11月15日頃載せます