園にある伝承遊びは主に室内遊びが多いのですが、「あやとり、折り紙、お手玉、こままわし、めんこ、けん玉」などが置かれています。
これらの伝承遊びは古くから日本で遊ばれているものなので、よく外国の幼児施設への訪問の際のお土産にする場合が多くあります。しかし、実際はその遊びのルーツは外国のものであることのほうが多いようです。以前、長崎県で開かれた「長崎こと初めて」という展示会の中で、「けん玉」がありました。
けん玉は、江戸時代中期にシルクロードを通って、唯一、外国に開かれていた長崎に入ってきたとされています。もともと、ワイングラスと毛糸球やシカの角と木製の玉など2つのものを糸または紐で結び、一方を引き上げたり振ったりして、もう一方に乗せるとか穴を突起物にはめるような玩具は昔から世界中に存在していました。日本にけん玉が入ってきた時には、鹿の角に穴をあけた玉を結びつけた形のけん玉でした。しかし、このけん玉は、子どもの遊びではありませんでした。大人の酒の席での遊びでした。もし失敗したら酒を飲まされたという遊びだったようです。
それが、子どもの教育玩具となったのは明治9年に文部省発行の児童教育解説書に「盃および玉」という題で発表されてからです。そして、大正7年、従来のけん先と皿1つで構成された「けんに鼓」をヒントに、皿胴を組み合わせた「日月ボール」(または「明治ボール」)を広島県の江草濱次さんという人が発明し、現在のけん玉の形がほぼ完成しました。そして、1977年「けん玉ルネッサンス」といわれる爆発的な大流行となったのです。
新しいものに飛びつきやすいですが、長いあいだ人気のあるものにはそれなりの理由があるものです。
「伝承遊びのルーツ」
2017.01.14