るんるん組は、お友だちと遊ぶのが大好きです。
一人で滑っているところに、お友だちが来ると「れんけつ~!」と声をかけて、一緒に滑り台を滑って笑い合っています。他にも、お友だちとお話をしながら「アリの巣あったよ!」、「大きいアリだね~」とアリの観察をしている姿も見られます。
先日、お散歩に行った時のお話です。走ることが大好きなA君とB君は、公園に行くと一緒に走って遊んでいます。
ある日、私は「よーいどん!で走るんだよ。」と地面に線を引き、A君とB君に提案しました。何度か地面に線を引いて「よーいどん!」の掛け声でかけっこをする遊びを楽しんでいました。
何日か、かけっこ遊びが続いたある日のことです。A君に「よーいどん、しよ!」と声を掛けられました。いつものように、地面に線を引くと数人のお友だちが集まってきました。かけっこに参加した子どもたちが線の上に並び、「よーいどん!」と手を叩くと一斉に走り出しました。
一人ひとり懸命に走る姿が見られ、B君が1番に大きな木が生えているところまで、走り終えると「もう1回やる~。」と、最初の地面に書いた線まで戻り、繰り返しかけっこをしました。
「よーいどん!」と手を叩いたときに、B君が途中で転んでしまいました。私が「大丈夫?」と声を掛け、近くに寄ろうとする前に、A君が近寄っていきました。
泣いてしまうかなと様子を見ているとB君はA君が近寄ってきたことに気付き、ニコッと笑いまた走り出しました。走り終えると、「もう1回やる!」と線のところまで戻っていき、A君とB君のかけっこは数回続きました。
「子どもは、遊びを通して自分とは異なる思いや感情をもつ他の子どもの存在に気づき、徐々に子ども同士の関わりをもつようになる。」と言われています。
保育者との関わりではなく、子ども同士の関わりでその子の嫌な気持ちから嬉しい気持ちに変化していくことを感じました。
エピソードの中でお話しした「大丈夫?」の声掛けでも、保育者が子どもに伝えるのと、子どもが子どもに伝えるのでは、その時の状況によって、言われた子どもの捉え方が変わってきます。B君は、転んで痛かったけど一緒に遊んでいたお友だちに「大丈夫?」と言ってもらうことで、痛さよりも嬉しい気持ちの方が強かったため、また走り出すことが出来たのではないかと思います。心配してもらうことに喜びを感じ、友だちが転んでしまったら今度は自分が「大丈夫?」と声をかけてあげようと思う気持ちが育ちます。
一緒に遊んだこと、お友だちとケンカをしてしまったこと、優しくしてもらったこと、1つ1つが子どもにとって大事な経験です。子ども同士の関わりを大切にし、子どもの姿を見守り、時に子どもの中に入り一緒に楽しみながら関わっていきたいです。
木島彩未