ある日の夕方のことです。
「島野先生ちょっといいですか。」
そう呼ばれて給食室の外に出ると、そこにいたのは幼児組のお友達でした。
「おやさいどーぞ!」
子どもたちは少し太めのきゅうりを2本渡してくれました。これは幼児組のみんなが毎日水をあげて育てた木月ほほえみ産のきゅうりです。
「みんなありがとう。明日の給食できゅうり食べようね。楽しみにしててね。」
「よろしくおねがいします」
子どもたちはキラキラした笑顔できゅうりを食べることを楽しみにしている様子でした。
そして翌日…
給食室で1本のきゅうりはスティック状に、もう1本のきゅうりは輪切りにしました。味見をしてみると結構青臭い!自然を感じる味です。子どもたちが食べられるのか、少し不安になりながら幼児組のお部屋にきゅうりを届けに行きました。
お部屋に行くと子どもたちは食事を食べ始めているところでした。
「みんなー、昨日のきゅうりを届けに来たよ。きゅうり食べる人ー?」
「はーい!」
私はテーブルを回りながら一人一人にきゅうりを配りました。お皿にきゅうりが乗ると早速手で持って…パクッ「おいしいー!」「おかわりー!」みんな喜んで食べていました。
中には「皮は食べられなかった…」とすいかのように外側の皮だけ残してしまった子もいますが青臭いきゅうりを食べることも経験です。また普段野菜が苦手であまり食べられない子も一口食べることに挑戦していました。やはり自分で育てたきゅうりは特別なのですね。
さらにこんな子どもたちの会話も聞こえてきました。
「今日のサラダにもきゅうりが入っているね。」
「おいしいね。」
「おかわりするー!」
きゅうりの栽培を通して食材への興味が高まったのではないでしょうか。その日に提供した副菜のサラダは完食でした!
食事はただ食べればいいというものではありません。誰かと一緒に食べて美味しさを共有することや、新たな食材に出会うことはとても大切なことです。今回のきゅうりを通して苦手な食材に挑戦する姿や、好きだったものがさらに好きになる姿、美味しいねと話している姿、子どもたちの様々な姿が見られました。
これからも子どもたちの興味を引き出せるような給食を作っていきたいです。
幼児組では、きゅうりの他にも夏野菜の「なす」や「ミニトマト」も栽培しています。これからどんどん「木月ほほえみ産」の野菜が増えていくことでしょう。あとどれくらいで採れるかな?どうやって食べようかな?収穫が楽しみですね。
栄養士 島野 史歩