「いただきます」をして食事を始める子どもたち。Aちゃんは大好きなお肉とご飯を少し食べると、「りんごは?りんごは?」とデザートを求める声が。
お皿には、手をつけていない副菜がありました。
Aちゃんに「(お皿を)ぴっかりんしてからにしようか?」と伝えるもなかなか口を付けません。
そこで、壁に貼ってあった食材のイラストを指さして「あ、きゅうりさん!一緒だね」「美味しそう」と声を掛けると、「きゅうり!ちょきちょき?」と興味を持ってくれました。
すると、スプーンですくって一口パクッと食べてくれました。「すごーい!シャキシャキだね!」と褒めるとAちゃんも嬉しそうにしていました。
そんな姿を見てか、向かい側に座っていたBくんもきゅうりを食べ始めていました。
すると、Aちゃんは、「Bくんすごいね、えらいね〜!」と自分のことかのように褒め、喜んでいました。その後も会話を楽しみながら食べ進め、2人とも完食してからりんごを美味しそうに食べていました。
給食は保育園での生活にとって楽しみな時間の一つです。
しかし、苦手な食べ物や日によって気分が乗らない時なども子どもによってあります。嫌な気持ちにならないようにと心掛けながら、様々な食材を経験できるように、栄養士が味付けを工夫したり保育士も食べてみようかな、と思えるような声掛けをしています。
Aちゃんは普段、野菜を食べることが出来るのですが、気分や視界にデザートが入ると、先に食べたくなってしまうことがあります。
デザートを食べたいという欲求から気を逸らす言葉や食材に興味が持てるように視覚的に呼び掛ける事で『食べてみよう』という気持ちを持ってもらうことが出来ました。食べることの出来たAちゃんを褒め、楽しく食事を進めることができたところまでは、正直思惑通りでした。
しかし、その後のBくんの行動やAちゃんの言葉には、驚きを感じました。BくんはAちゃんと私の会話を聞いて、きゅうりへの興味や食べられたら褒めてもらえると感じたのかもしれません。
さらにAちゃんは、自分の食べられた達成感や褒められたら嬉しいという経験から「Bくんすごいね」という言葉が出たのではないかと思います。
1才児クラスのすくすく組のお友達は、他の子に興味を持ち始めて一緒に遊ぶ機会が増えてきています。
遊びの中でも、一緒に遊びたい子にスカートを渡し、同じ物を身につける事で仲間意識や楽しさを共有したり、玩具が欲しくて、「かして」と寂しそうにしている表情を見て渡してあげる姿もあります。
「どうぞ」が出来た子は、とても嬉しそうに貸してあげることが出来た事を喜んでいました。
子どもたちの中で相手の行動や気持ち、どうしたら一緒に遊べるのかを考えることが出来る様になっています。
これからも会話を交えながら楽しく食事や活動をしていきたいと思います。
すくすく組担任 根岸菜々子