入園して間もない頃は「ここはどこなの~?」「パパ、ママはどこなの~?」と不安でいっぱいだったよちよち組さん。
1人のお友達が泣くとみんなもつられて泣き、お友達がパパやママと登園して来ると思い出して泣き…泣き声が響き渡るにぎやかな保育室でした。
さて、そんな時はお散歩へGO!
園庭に出てバギーに座ると……泣きや……みません。まだです。
バギーが動き始めると……
泣き止みました!
そして泣き疲れた顔でぼんやり景色を眺めはじめて…園を出る頃にはすでに眠っているお友達も。
戸外に出ると開放感を感じられ、鳥のさえずり、風の音、そしてバギーの揺れが心地の良い刺激になって気分転換になるのですね。赤ちゃんの時期は街中で「バスを見よう!」「電車を見よう!」という強い刺激よりも川沿いや公園、住宅街などでゆったりとしたお散歩が好ましいようです。
そして、お散歩中は歌を歌ったり話しかけたりして少しずつ私達保育者との信頼関係も築いていきました。
そんな毎日を繰り返していくと「お散歩に行こうか!」と出入り口で声を掛けると嬉しそうにハイハイで向かって来たり、ハイハイの出来ないお友達は抱っこをすると手をブンブン振って喜んだりとお散歩を通して安心して園生活を送れるようになってきました。
園生活に慣れ、お散歩では公園にシートを敷いて遊べるようになったよちよち組さん。シートの上でおもちゃをカミカミしたりして座ったまま外気浴を楽しんでいたのですがある日のこと…
シートの外の世界に目が向いたDくん。ゆっくりと手を伸ばして砂に触れていました。
初めは手を広げて、その後は指で絵を描くように。握りたいけど握れない、なぜか触ると手にくっついてくる、そんな不思議な砂の感触を楽しんでいると、シートの周りにも砂の世界が続いていることに気付き、移動しながら今度は落ち葉を発見。
握りしめて砂とは違う感触を確かめ、次はもちろん口でも確認の味見!?ゆっくりと握りしめた落ち葉を口に運びます!
ギリギリまで見守ってから声を掛けましたが、この時期はなんでも口に入れて確かめるので戸外では特に目が離せませんね。
保育園ではどのクラスも戸外に出ると周囲に危険なもの不衛生なものがないか確認をしてから遊び始めています。
私に声を掛けられて久しぶりに顔をあげたDくん。顔をあげると砂の世界がさらに広がっていることにも気付きました。こうなるとDくんの興味は止まりません!何か安心材料が欲しかったのか積木を持って砂の世界に出発です!
片手に積木を持っていることで先ほど知った砂の手触りよりも積木を動かした時の振動や音が気になったのか積木をじっと見ながらハイハイで進んで行きます。
前方に目標物があってニコニコとハイハイで進む姿はよく見ますが、手元のおもちゃと共に顔を下に向けたまま進んでいる姿はとても新鮮でした。
そして、数メートル進むと今度はコンクリートブロックに出会いました。
「お!これはかたいぞ?」というようにコンクリートの手触りを確認してから積木を叩きつけてコンコンとなる音を楽しんでいるDくん。顔を上げて私の姿にも気づくと「みてみて!」というように微笑みながらコンコンと鳴らし続けていました。
10分ほどの公園遊びでしたが、砂、落ち葉、コンクリートに出会い、それぞれの感触、匂い、音を知ったDくん。このDくんの大冒険は私達にとって当たり前のことでもよちよち組さんにとっては大発見なのだと改めて感じさせられる一コマでした。
また、ハイハイは自分の力で立って歩く準備段階の大切な運動です。
この日はその大切なハイハイを自分の興味を広げる中で十分に行えた充実した時間になったのではないかと思います。
0歳児クラスは個々の発達の違いがとても大きいクラスです。今後もたくさんの初めてに出会うみんなといつも新鮮な気持ちで気づきや発見を共感し、好奇心を引き出せるようにするとともに発達段階にあった運動も戸外、室内でどんどん楽しんでいきたいと思います。
村松 宏美