1歳児クラスのすくすく組さんは、夏になる頃にはお皿に食材を並べ、「どうぞめしあがれ!」「もぐもぐ、おいしー!」とお友達と一緒におままごとをし始めていました。
そして、夏が過ぎた頃、そんなおままごとにも変化が見えてきました。
以前のおままごとでは、食材のおもちゃを持って「これはいちご!」「おにくどうぞ」と食材を渡したり食べる真似をしたりしていました。ところが、最近はブロックを組み合わせ、作ったものをアイスクリームに見立てて「あいすくりーむどうぞ!」と言ったり、「なにアイスですか?」と保育者が尋ねると「ちょこれーとあいす!」と答えが返ってくるようになりました。
今までは「アイスクリーム」で完結していたものが、具体的に味まで想像し、見立てて遊ぶ想像力、それをお友だちに伝える」言語力がつき、コミュニケーションの幅が広がっていました。
さらに、アイスを食べる真似をして「つめたーい!」「あまいねぇ」と食べた感想までお友だちと顔を見合わせて楽しそうに話し始めたのです。
そんな成長に驚いていたのもつかの間、ある日のおままごとのエピソードです。
エプロンを付けたAちゃんとBちゃんが、いつものようにコップやお皿を使っておままごとをしていました。Aちゃんはおんぶひもを使ってぬいぐるみをおんぶしていて、完全にお母さんモードです。
私は、その空間には加わらず、近くからそっと二人の会話に耳を傾けてみました。
「とまとたべる?おさかなもあるよ」「おさかなたべる!」「おさかなはちょきちょきしてたべるのよ」そんな会話が聞こえてきました。Aちゃんが用意したご飯はトマトと魚。Bちゃんはお魚を選び、Aちゃんは魚を小さく切って食べるように促していました。
Aちゃんは、給食時に保育者が「チョキチョキして食べてね」と声を掛けていることが印象に残っていたのかもしれません。そのまま二人のやり取りを見ていると、Aちゃんがシリコン製のオモチャを手に取りました。何をするんだろう?とみていると、そのオモチャを両手で丁寧に持ち、コップに向けて傾けて「みかんじゅーすよ」とBちゃんの持っているコップに飲み物を注ぐ動作をしました。
Aちゃんは、シリコン製のオモチャをピッチャー、ペットボトルなどに見立てて遊んでいたのです。Bちゃんも、ミカンジュースを注いでもらったコップを嬉しそうに持ち、ごくごくと飲んでいました。
すくすく組の子どもたちの遊びの発達はある程度把握しているつもりでしたが、こんなことまでできるのか!と改めて驚かされたエピソードでした。
まるでお姉さんのような口調で話したり、日常の大人の些細な言動を真似てみたり、生活の中のちょっとした動作を遊びの中で展開したりと、すくすく組さんの遊びは日々進化しています。まずは身近な大人の真似をして、次に役割分担をして楽しむおままごとへと繋がっていきます。
子ども達の想像力を掻き立てるためにも、生活の中の一コマを遊びに取り入れたり、逆に遊びの中の一部分を生活に取り入れてみたりと、子どもたちとの日常の中で様々な刺激のある保育をしていきたいと感じました。
平塚