ある日、遅番のためお昼前に保育室に入ると、画用紙とカラーセロファンで作ったメガネを装着した子どもたちが出迎えてくれました。
「みてみて~」「〇〇先生が作ってくれた!」とみんな嬉しそうに見せてきてくれました。
その日は、ママやパパがお迎えに来てくれる時も見せたいのか付けたまま遊ぶ子がたくさんいました。
数日後、「メガネ作りたい!」と一人のお友だちが声を掛けてきました。その声を聞いた数名の子どもたちと一緒にメガネ作りがスタート!
A4サイズの画用紙を半分に折り、片面に半分のメガネの形をした線を描き、子どもたちに切ってもらうことにしました。作っているお友だちの様子を見て、「私もやりたい!」とぞくぞくと集まってきました。
すると、「星はできる?」「ハートにしたい!」など自分の好きな形をリクエストする姿が増えてきました。作ってもらっていたものから自分たちのオリジナリティを持って取り組むようになっていました。
ハサミで切り終わり画用紙を広げると、レンズのないメガネに。子どもたちも「メガネの形になった」と驚きと新たな発見を楽しんでいるようでした。
最後に好きな色のカラーセロファンを選び、輪郭に合わせて切ってセロテープで貼って完成です。
子どもたちは、達成感を味わいながら自分で作ったメガネを装着して遊びに出かけていきました。
そのまた数日後、帰りの会も終わり子どもたちが好きな遊びをしてお迎えを待っているころ。
うきうき組のAくんが「ハサミ貸してください!」とハサミカードを渡してきました。
(ハサミカードとは、貸出式で使えるハサミと交換できるものです)
私は、Aくんにハサミを渡し、近くで見守ることにしました。Aくんは、画用紙にメガネの形を描きハサミで切り始めました。
Aくんは2度作り方を実際に見ていたことで、作り方を思い出しながら一人で作り始めることができたのではないでしょうか。
子どもたちの想像や工作意欲を育むためには、前段階がとても大切だと改めて感じることができました。
Aくんは、作り終わってからこめかみ部分が短く、掛けることができないことに気が付くと私に助けを求めてきました。間を切って、新しい画用紙を貼って長くするといい、と伝えると黙々と作業を続けていました。
次回また作る機会があったときはきっと、いままでの経験を生かしてくれることでしょう。
いろいろなものを作ってほしいと大人が思っていても経験やレパートリーが少ない子どもたちにとって、周りのお友だちや先生の姿はとても刺激的なものです。
0から何か新しいものを作り出すのは、とても難しいことです。でも、子どもたちは1を10にも100にも変化させることができる柔軟性や想像力を持っています。たくさんの経験があればあるほど、子どもたちは色々なことを吸収していきます。
子どもたちに「なにそれ」「つくりたい!」というわくわくした気持ちを持ってもらえるように見本となり、時にはともに楽しみながら工作をしていきたいと思います。
根岸