るんるん組のお部屋で、子どもたちと図鑑を見ていた時のこと。
Aくんが「みかん、みかん!!」と指をさしました。
「みかんだね〰️」と答えたものの、Aくんの視線は図鑑ではなく、違う方向…。
「みかん!」ともう1度伝えてくれるAくんの視線に、ハッと気付きました。
Aくんが見ていたもの。
それは時計。
木月ほほえみ保育園では、どのクラスの時計にも果物のマークが貼ってあります。
見通しを持って行動出来るよう、時計を見るように伝えているのですが、まだ数字を理解出来ない子どもには難しいことです。
そこで、数字の横に果物のマークを貼り、「長い針が1のイチゴになったら、○○が始まるよ」等、数字と果物を一緒に伝えるようにしています。
1がわからなくても、イチゴを探すことは出来ます。
繰り返すうちに、イチゴの隣にある数字が1だと理解するようになってきています。
また、長い針が動くこと、針が動くと時間が進むということを知るようになります。
図鑑にあるみかんを見つけ、時計についているマークと同じ!!ということに気付いたのでしょう。
Aくんに、
「みかん、の5だね!!」と伝えるとパッと顔を輝かせ、「5」と答えてくれました。
まだAくんには時間の概念はないように感じますが、るんるん組の子どもたちが「時計」というものを少しずつ意識しているのだな、と感じました。
「時計」は、見通しを持つための手段の1つです。
例えば、遊んでいる最中に急に「朝の会が始まるからお片付けだよ!」と言われても、まだ遊びたかったのに…という気持ちも強いでしょう。
「長い針がイチゴの1になったら朝の会が始まるよ」と事前に伝えておくことで、
『1になったら朝の会が始まるんだ』
『その前にお片付けをするんだ』ということを意識します。
もちろんすぐに意識出来るわけでも、理解出来るわけではありません。
お片付けをして、朝の会に間に合った経験。
なかなか片付けられずに、朝の会が終わってしまった経験。
早く片付け過ぎて、たくさん待った経験。
ちょっと間に合わなかった経験。
たくさんの経験を通して、子どもたちは、先を見通す力が身に付いていきます。
見通す力が身に付くと、自分で考えて動き出すことができるようになります。
「先生が片付けてって言ったから」ではなく、
「朝の会が始まるから片付けなくちゃ」と子どもたちが自分で気付けるように。
私たち保育士は、次の行動のヒントを出したり、時計に気付かせたりして、子どもが考える時間を作るよう心掛けています。
今後も、子どもたちが自分たちで考えて自主的に行動出来るような言葉かけや環境作りを、意識していきたいと思います。
早野