ある日、お部屋でAちゃんと一緒に指先遊びをしていた時のことです。
この日は、ストローやカード、チェーンを穴から落とす穴落としなど、色々な指先遊びのおもちゃで子どもたちが遊んでいました。
日頃から穴落としなどの指先遊びがお気に入りのAちゃん。色々な穴落としのおもちゃに興味をもって近づいていき、集中して遊んでいました。
しばらくすると、穴落としではなく、ペットボトルにスプーンの入ったおもちゃを見つけ、そのおもちゃに手を伸ばし、これはなんだろうと不思議そうに持っていました。このおもちゃは、空のペットボトルにプラスチック製のスプーンが入っているおもちゃです。ペットボトルの口から出てくるスプーンの柄の部分を引っ張って遊ぶことができます。
よちよち組の子どもたちは、日々の生活や遊びの中であらゆるものを引っ張る姿がよく見られるため、引っ張るという動きができるおもちゃは、Aちゃんもお気に入りだろうと思い、しばらく様子を見ていました。
Aちゃんは不思議そうにこのおもちゃを持ちながらも、ペットボトルを振ってスプーンが動くのを楽しんだり、カチカチと鳴る音を楽しんだりしていました。
しばらくAちゃんの様子を見て、Aちゃんなりの楽しみ方で遊び終わったと思った時に、私はペットボトルの口から出るスプーンの柄の部分をAちゃんの前で引っ張ってみました。
すると、Aちゃんはその様子をじっと見て、同じように真似をして引っ張って遊び始めたのです!この時、私は、子どもは保育士のことをよく見て大人の真似をしているんだと感じ、周囲の保育士、大人の存在の大切さを感じました。
保育は、環境を整えることが大切です。その環境の中には子どもの周りに置いているおもちゃなどの物的環境、動線や遊びのスペースなどの空間的環境、お散歩の時などに関わるお花や心地よい風などの自然の環境、そして、子どもの周りに存在する保育士や大人、お友達などの人的環境があります。
子どもたちは、環境の一部である保育士のことをよく見たり真似をしたりして、日々過ごしています。
ご飯を食べる前に「いただきます」と保育士が手を合わせて挨拶をすると、それを見て真似して一緒に手を合わせたり、保育士がおもちゃで遊び、物と関わっていると、それを見て遊び方や物との関わり方を真似したりと、保育士の動きが子どもに大きく影響を与えます。
私たちは、自分が子どもを取り巻く環境の一部であることを念頭に置いて、行動することが大切です。
この時、保育士の真似をしてAちゃんの中で引っ張るという新たな遊び方が生まれ、私は何度も楽しそうに引っ張って遊んでいるAちゃんの姿を見て、とても嬉しく思いました。
これからも子ども一人ひとりの姿をよく見て、私もおもちゃと関わりながら子どもたちと一緒に遊んだり、環境を整えたりして、子どもたちを見守っていきたいと思います。
陸野