木月ほほえみ保育園のブログ「そこはっ!ほほえみっ子」

歯科検診ごっこ(2歳児クラス・るんるん組)

2022.11.25

その日の午前中は歯科検診。歯医者さんの前でお口を大きく開けられるかな?ということで、朝の会でお口を開ける練習をしました。一人ひとり、先生に向かってお口をあーん。予行練習もばっちり!本番の歯科検診でも大きく口を開けて、しっかり歯を診てもらうことができました。

 

さて、歯科検診も無事に終わり、午後の自由遊びの時間になりました。
いつも長椅子では、並んで座ったり、跨がってバスや電車に見立てて遊んだり、ジャンプをしたりして遊んでいる子どもたち。
でも今日はなんだか違う様子。Aくんが長椅子の上にゴロンと横になり、Bちゃんがその頭の上で跨って座り、顔を覗き込んでいます。そして大きくお口をあーん。まじまじと口の中を見つめると「大丈夫です」と一言。

Aくんは満足して起き上がり、違う場所に遊びに行きました…かと思いきや、また元の長椅子にゴロン。再び口を開けて診てもらっていました。
その様子を見てぞろぞろと他の子どもも集まってきました。「つぎ〇〇ちゃんがやる!」「つぎは〇〇が!」と気づいたら、た〜くさんの歯医者さんと患者さんが。
「じゃあ次は〇〇ちゃんの番ね」とお互いに声をかけながら代わる代わるに口を開けて、虫歯菌がいないか診ていました。

今回子どもたちが始めた歯科検診ごっこ。この「ごっこ遊び」では創造力や表現力、言語能力など子どもの様々な能力の発達が促されます。
その1つが社会性です。歯科検診ごっこは、「歯を診る人」と「歯を診てもらう人」がいるという理解があって成り立つので、一緒に遊ぶには“歯科検診”というひとつのイメージの共通認識が必要になります。今回の場合は直前に歯科検診があったことにより、イメージが共有できました。

 

2歳児は友達に少しずつ興味を持ち始め、一緒に遊びたい気持ちが出てくる時期ですが、はじめはイメージの共有が上手くいかず、相手は歯医者さんだけど私はパン屋さんといったように、相手と遊びの世界やイメージが食い違ってしまうことが多くあります。

その中で自分のイメージを言葉にしたり、相手が何になりきっているのか、何に見立てて遊んでいるのかを想像したりすることを繰り返し、少しずつ相手の気持ちや考えに気がつき、そのイメージに共感して遊ぶ楽しさを学んでいきます。ごっこ遊びの中では相手とイメージをいかにリンクさせていくかが鍵になってくるのです。
また「歯医者に診察してもらうためには順番を並ぶ」などの自分たちで作り上げたルールを理解し、守って遊ぶことも必要になります。1人が順番を守れなかったりすると、突然その遊びが進められなくなってしまいますよね。その場にいる子どもがルールを共通認識し、守ることではじめてごっこ遊びや集団遊びが成立するのです。

このようにごっこ遊びという小さな社会空間を作り出す中で、共感して遊ぶ楽しさや相手の気持ちに気が付いたり、ルールを守って遊ぶ楽しさを学んだりしていきます。

ごっこ遊びは集団で過ごすために必要な様々な力、つまり社会性の発達に大きく影響する遊びです。
今回の歯医者さんごっこでは、子どもたちがひとつのイメージ、社会を作り出して遊んでいる瞬間でした。
今後もこのような子どもが作り出す世界を見守りながら、ごっこ遊びの環境を作っていきたいと思います。

池田

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