ある日の移行中の給食の様子を見に行くと、Bくんが配膳のお手伝いをしていました。「なにかへらすものはありますか?」とはっきりとした声で給食を取りに来たお友達に聞いていました。
給食を取りに来たCちゃんは、自分のごはんをトレーの上にどうやってのせたらよいか分からずに困っていました。するとBくんが「ごはんはこっちだよ。おみそしるはこっちにのせて、おちゃはここにのせたらいいんだよ。」と話す姿がありました。また、給食を受け取った後、自分の行くべき席が分からずに立ち止まっているDくんに気づいたBくんは「みかんのせきだよ。こっちだよ。」と声をかけていました。お友達の困っている姿に気づいて声をかける姿に、お友達のことを考えて自分で行動することができるようになったのだなと思いました。配膳のお手伝いが終わった後に「お友達が困っているのに気づいて声をかけていたね。お友達を助けていてすごい。」と声をかけると「ふつうだよ。」と笑っていました。
またある日のことです。幼児組で食育指導を行いました。食育指導では、アレルギーをテーマにお話をしました。「今日は少し大事な話をします。アレルギーについてお話しします。アレルギーってなにか知っているかな?今日は紙芝居を読むので、姿勢をかっこよくして聞いていてください。」と声をかけて食育指導を始めました。すると、にこにこ笑顔が真剣な顔にがらりと変わり、集中して聞くぞという気持ちが伝わってきました。食育指導では、献立の中からアレルゲンを探す「アレルギーみっけ!」というクイズを行いました。今まではそのようなクイズを行うと「答えが分かった人は手を挙げて、当てられてから答えてね。」と約束していても「それしってるよ!」「かるちゃんだ!」「とまと!」などとクイズの答えや思ったことを口に出していました。しかし、今となっては4月と大きく違い、きちんと約束を守り答えることができました。当てられた子どもが当てられたことに気づかないでいると「ねぇねぇAちゃんだよ。」とそっと当てられたことを教える姿もありました。まとめでは、私の目を見て「うんうん。」と頷きながら話を聞くことができました。また、「お約束を守れるかな?」と聞くと元気よく大きな声で「はい!」と答えてくれました。
今年度初めの頃は自分のことで精一杯だった子どもたちですが、困っているお友達に気付いて声をかけられる姿に成長を感じました。自分だけだった世界にお友達という他者が入り、お友達との関わりの中で相手を気づかったり思いやる心が育っているのだと感じました。
気づかいや思いやりは、食育指導での聞く姿勢や給食の配膳のお手伝いでなど日々の行動の中に見られ感心しました。相手を気づかったり思いやったりすることは、相手を大切に思っていないとできないと思います。そのような相手を気づかったり思いやったりする子どもたちの心や行動は、私自身もできていないことがあるので見習っていきたいです。
太田