おやつを食べ終え、井型ブロックで遊んでいた子どもたち。その日は天気がよく、窓から西日が入ってきていました。そんな気持ちの良いお部屋で遊んでいた時にあった出来事です。
「車つくるの~」と集中して井型ブロックで車を作っていたAくん。車が完成し、ふと上を見上げると、壁に光が当たり、他の壁よりも明るい部分がある事に気がついたようです。
するとすくっと立ち上がり、明るくなった壁面に近づいていきました。
そして、壁と少し距離を空けて、完成した車を持ち上げるAくん。
壁に「影」が映ることを発見したようです。その後は、車の角度を変えてみたり、高く持ち上げてみたり、影がどのように変化をするのか試していました。
自分の世界に入り込み、影が映ることを発見した喜びを感じ、没頭して遊んでいたAくんですが、探究が終わると、満足した表情で保育者に「ねぇ見て~」と声を掛けてくれました。
「どうしたのかな?」保育者はずっとAくんの姿を見ていましたが、Aくんがどんなことを考え、どんな風に思っているのかを知りたくて、あえてそのように返答をしてみました。
Aくん 「車がね。ここ(壁)にあるの!」
保育者 「本当だね。Aくんが作った車とAくんの手も壁にあるね。」
Aくん 「ほら、見てみて!」と先ほど探究した様子、車の角度を変えたり、高くしたり低くしてみたり…を保育者に見せてくれました。
保育者 「Aくんが、動くと一緒に動くんだね。楽しいね。これは影というんだよ。」
Aくん 「かげ?……かげ!かげ!」と嬉しそうにジャンプをしていると…
Aくん 「あ!なくなっちゃった」としょんぼり。
Aくんが日が差し込んでいた壁面ではないところに移動してしまい見えなくなってしまったのです。
保育者「あれ?影どこに行っちゃったんだろうね?」とAくんの様子を見守りました。
するとAくん、始めに影が映った位置に戻り、影を壁に再び映すことができました。Aくんは、自分で考え、行動することができました。
その後、楽しそうに遊んでいるAくんを見て、Bちゃんも、Aくんの真似をし、一緒に影遊びを楽しんでいました。
この一連の様子の中で、保育者が影の仕組みを教えるのはとても簡単なことです。ですが、気付き発想力や創造力を大切にしたいため、あえて声を掛けず、子どもがどのように気づいていくのか、あるかは気づかないのか…と子どもの様子を見守りました。
今回のAくんの気付きは「STEM」にも関連しますが、いざSTEM教育をしようとご家庭では肩肘を張ってしまうかもしれません。このように普段の遊びの中で、子どもが自然に「STEM」を楽しむこともできます。
4月からるんるん組に進級し、お兄さん、お姉さんとしてやる気に満ちている子どもたち。子ども達の発見や気付き、探究心を大切に保育をしていきたいと思います。
山野