木月ほほえみ保育園のブログ「そこはっ!ほほえみっ子」

みーんな小さな研究者!(0歳児クラス・よちよち組編)

2023.07.31

4月から3ヶ月が経ち、子どもたちも新しいクラスや園での生活に慣れてきている姿が見られています。部屋や園庭、散歩に出発するときの玄関など、色々なところで子どもたちの笑い声が聞こえるようになり楽しく過ごしているんだなぁと感じます。

今年度の木月ほほえみ保育園ではSTEM保育というものを意識し、幼児組の室内にはサイエンスコーナーがあったり、月に1度のほほえみの日には子どもたちが楽しめる実験をしています。もちろん、乳児と幼児は同じものではなく、それぞれの発達に合わせた楽しめる内容のものをしています。

S:Science(科学)
T:Technology(技術)
E:Engineering(工学)
M:Mathematics(数学)
なぜSTEM保育を意識しているのかというとSTEM保育は、「教えられて覚える」「与えられた課題を解く」といった従来の受動的なものとは異なり、「自ら課題を発見し、解決法を考え、理解する」という考えを遊びを通して学ぶものです。

 

STEM保育が目指すものは、目の前のモノをよく観察し、新しい価値を生み出す「創造力」です。
日本ではSTEM教育の一環として2020年から小学校でプログラミング授業が開始されましたが、幼児期は遊びを通してその土台になる思考力や想像力、表現力を身に着けることが大切だと言われています。
身の周りのものを通して、ものの仕組みについて考えたり、数や図形など法則のあるものへの興味を持つ、自由な発想で自分がつくりたいものをつくることや、いろいろな友だちと関わりながら、相手の気持ちを察することを学ぶ。このような体験が、自らの意思を形にする設計力や問題解決能力としてつながっていくと言われています。

それは当法人の理念でもある「気付きと意欲を大切にする」にも当てはまることで、子どもが色々な自分の知らない不思議に気付いた時になんでだろう、どうしてだろうと考え、自分なりの答えを出して発想を広げていくことが大切ですね。

今の時代はすぐに答えを調べられるものが溢れている時代になっています。しかし、すでにある答えをすぐに調べたり、大人が答えを教えるのではなく、不思議だね?、なんでだろうね?と共感し一緒に考えてあげることで興味も広がり子どもたちの力になっていくのだと思います。

 

ここまでの話しで、なんとなく幼児向けだなと感じますが、今回の話は乳児組での話となります。
乳児組ではどんなことがSTEMなのだろう?と思いますが、乳児期のおもちゃとの触れ合いも立派なSTEM保育となります。目で見て色や形を認識し、触って硬さや感触を感じ、匂いを嗅いで違いを知る、これはどんなものなのだろう?と感じ取って覚えることもSTEM保育となりますね。また物を口に入れていることも大切なことで、手よりも敏感に感じ取れるのでどんなものかをより感じようとしていたり、味や風味を感じることもできています。

先日はこんなこともありました。いつもは座って遊んでいる子が突然動きを止め何かをジィーっと見つめていました。何を見ているのだろう?と見てみるとハイハイの子が楽しめる高さに用意した鏡に気付き不思議そうに見ていました。その子はしばらく鏡を見つめた後に近くに行き、鏡に映る自分を見て楽しそうに笑っていました。なるほどと思い、特に声はかけず鏡越しに顔が見えるように映り込み手を振ると、嬉しそうに手を振って応えてくれました。そこで、その状態のまま今度は後ろから名前を呼んでみると「あれ?」といったように少し不思議そうな顔をして振り返りましたが、目が合うとまた嬉しそうに手を振ってくれました。

保育士と目があって笑ったり手を振ったり、鏡を見たりということは保育園ではよくあることなのですが、今回は子どもが鏡に気付いたところから始まりました。まず鏡の発見ですが、大人ですと自分の姿を映すものと認識していますが、乳児期にはまだ鏡が何かわからない子も多くいます。
その鏡の発見からそれが①何かが映るもので、②自分が映ってると気付き、③保育士も中にいると感じ、④後ろにも同じ人がいる!?と鏡を見た中でこれだけの学びが生まれていました。この時期の子どもに大人が「鏡は光の反射を利用して顔や姿をうつして見る道具だよ!」と言葉で伝えることはとても難しいですが、このような体験をすることで少しずつ鏡に興味を持ちどんなものかを感じ性質に気付き理解していきます。

 

これからの時代は大人が主導となって教える、学ばせるではなく、子どもが自分で気づいて学んでいけるような環境が必要になるので部屋の中にもしかけを用意していきたいと思います。

また、子どもが何かに気付いたときはただ答えを教えるのではなくなんでだろうと一緒に悩み考えてみたり、時には実験などをしてみるのも楽しいかもしれないですね。

鈴木

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