ほほえみ保育園では、毎日朝8時までは0歳児から5歳児までが同じフロアで過ごしています。これは、ある日約20名ほどの園児が朝の時間をまったりと過ごしているときのエピソードです。
朝早くに登園するよちよち組のAちゃんは、お兄さん、お姉さんが大好き!お手伝い保育で来てくれる幼児さんにもとびきりの愛嬌を振りまき、幼児さんたちもまたAちゃんをたくさん甘えさせてくれます。
そんなAちゃんは絵本も大好きで、毎日担任に「よんでー」と沢山の絵本をもってきて読んでもらっては嬉しそうにニコニコ聞いています。
私が朝の当番で一緒に過ごしていたある日、運悪くAちゃんが「よんでー」と絵本を持ってきてくれたタイミングと他の園児が登園してきたタイミングが被ってしまいました。今すぐにでも読んであげたい気持ちと、受け入れをしなければいけない気持ちがせめぎ合い、「ごめんね、Bちゃんにおはようしてくるからちょっと待っててね」と先に受け入れをしてから読んであげることにしました。
Bちゃんを受け入れ、待たせてしまっていたAちゃんの絵本を読もうと思い振り返ると、つい先ほどまでいたはずの場所にAちゃんの姿がありません。
不思議に思い部屋を見渡すと、なんとAちゃんは幼児組のCちゃんのお膝の上に座っていました!ちょうどCちゃんの影になっていて見えなかったのです。
座っているというよりはもたれかかっているようなリラックスした姿で、Cちゃんが読んでくれている絵本を真剣なまなざしで見ています。
おそらく、私が「待っててね」といった後にAちゃんが「よんでー」とCちゃんにお願いしたか、待っているAちゃんにCちゃんが声を掛けてくれたのでしょう。
Aちゃんがとてもリラックスしている様子と、それを受け入れてあげているCちゃんの姿を見て、AちゃんはCちゃんをとても信頼しているし、CちゃんはAちゃんをとてもお可愛がってくれているんだなと感じました。
きっとそれは、Cちゃんがこれまで同じようにお姉さんたちに優しくしてもらったことでCちゃん自身も「小さいお友だちに優しくしなきゃ!」という思いが芽生え、AちゃんはそんなCちゃんの優しさに触れ、きっと幼児になったときに同じように下の子に優しくしてくれるんだろうなという優しさの連鎖が起こっているのだと思います。
私たち職員は日々子どもたちの欲求を受け止め寄り添う保育を心がけていますが、時には今回のようにすぐに子どもたちの欲求を満たしてあげられないこともあります。
しかし、そんなときに職員の代わりに欲求を受けとめてくれる幼児の存在は、子どもたちだけでなく私たち職員にとってもとてもありがたいものです。
これからもずっと続いていくであろう優しさの連鎖を、たくさん見て、触れて、今のよちよち組も来年、再来年のよちよち組にとって憧れのお姉さん、お兄さんになっていってほしいと思います。
平塚