るんるん組の給食の様子をお伝えしたいと思います。
12月から給食の配膳形式が変わり、今までは給食を一人一人テーブルに配膳していましたが、バイキング形式の配膳となりました。木月ほほえみ保育園の幼児組(3歳児、4歳児、5歳児)ではバイキング形式の配膳方法を行っています。1月中旬から始まる移行(移行とは幼児組のお部屋での生活を始め、新しい環境に慣れていくための準備期間)に向けて、るんるん組(2歳児)でもバイキング形式の配膳を始めました。
今日の給食の見本を見ながら、子どもたちは「これ(魚)好き!」「野菜(副菜)は減らしたい、半分にする」と自分で考えて食べられる量を伝えてくれます。そして、全員が着席し「いただきます」とご挨拶をしてから食べ始めます。
好きなものはどんどん食べ進める子どもたちですが、苦手なものはやはりペースが落ちたり、手が止まることがあります。
Aくんの隣に行き「きんぴら食べられるかな?」と尋ねると
「これ嫌い!だから食べられない」と一口も口にしていない様子でした。
はじめに量を確認したときは「減らさない」と食べる意欲があっても、いざ食べるとなると気持ちが変わる・・・そういった事はよくある光景です。
そんな時になんと声をかけようか…と保育者は思案します。
「苦手でも一口は食べてみよう」と言いかけて
んー?なにか違う…
「モリモリ食べたら、大きくなるよ」
んー?それは事実ではない…
子どもの立場になって考えてみます。
好きなもの(美味しいと思うもの)
嫌いなもの
この2つで分けられるほど単純ではない。
好きというわけではないけど・・・まぁ大丈夫なもの
この『真ん中』の曖昧なゾーンがあると私は考えています。
乳児期の子どもたちにはまだ『真ん中』という曖昧さの感覚が難しいですが、
好きか嫌いかの2つではなく“好きじゃないけど大丈夫”という場合も度々あります。
子どもたちには、「好きじゃないけど大丈夫、食べられるものがあるかな?きんぴらはゴボウと人参が入っているけど、食べられるものあるかな?」ときんぴらを一括りにするのではなく、具材の名前を具体的に挙げて、それぞれの食材について尋ねると「にんじんは食べられる」と答えてくれたりします。「にんじん美味しいね。このオレンジの色はとっても栄養があるんだよ。食べられるものが増えると、楽しめる事も増えていくね!」とお話をすると、「こっち(こぼう)も食べてみる」と食べる意欲が湧いて来たりします。
そんなことを思ってから一週間、
メニューを見て顔が渋っている子に、
「好きじゃないけど大丈夫なものあるかな?」と尋ねてみました。
「これは大丈夫!」
「これはちょっとダメかも・・・でも一口は頑張ってみる!」
「これ嫌い〜!」の言葉だけでない捉え方が広がってきたように思います。
この一週間、メニューも日によって違うのでなんとも言えませんが、
残食が減ってきたような気がします。
何より「これ嫌い〜」と安易に言わなくなってきたことに子どもたちの成長を感じました。
大丈夫が増えていき、一口食べてみて
「これはちょっと固かった」
「キャベツは苦手だけど、大丈夫かな~って食べてみたら、今日のは甘かった」
「ネギはやっぱり辛かった」
そうやって言葉も増えていくって素敵な事ですよね。
好きじゃないけど大丈夫!を探していくことで
『嫌い』とひとまとめの感情にしないで、嫌いが分解されていく。
そして、分解したら「きんぴらのごぼう固かったら、奥歯でしっかりと噛むと良いよ。噛む力はとても大事だよ」など大丈夫にしていくための具体的な話しをします。
「大丈夫!」
「食べられたよ!食べたら美味しかった。」
一歩乗り越えた、新しい自分に出会うときの顔は自信に満ち溢れています。
我慢とか、挑戦とか、強いイメージではなく
『大丈夫』という柔らかいイメージ
そんな子どもたちにとっての心地よい言葉や声掛けを探しながら毎日食育指導をしています。
今日のメニューは何かな~?
子どもたちと食べるお昼ごはんの時間が楽しみな毎日です。
山野