ある日、園庭やテラスで遊んでいた時のことです。最近、お部屋のパーテーションでつかまり立ちをしたり、行きたいところに向かってハイハイしたりと、よく身体を動かすようになってきたAちゃん。
この日は、歩行が安定してきた子どもたちは園庭、ずり這いやハイハイ、つかまり立ちをする子どもたちはテラスで遊んでいました。ハイハイやつかまり立ちをするAちゃんは、始めテラスのゴザの上でペットボトルマラカスを振ったり、穴落としをしたりとおもちゃで遊んでいました。
園庭で遊んでいるお友達や、園庭のお砂やおもちゃに興味を持ったのでしょうか。Aちゃんは自らテラスから園庭に降り、ハイハイで興味を持ったものの方へ向かい始めました。そして、そこにちょこんと座り、園庭のお砂をつまんでみたり、握ってみたり、パラパラしてみたり、お砂の感触を手で楽しんでいたのです。Aちゃんは、そばにいた保育士を拠りどころとして、自ら興味のあるものの方へ探索し始めました。さらに、近くにあった大きなシャベルに触れてみたり、掴もうとしてみたりして、園庭のおもちゃに興味を持つ姿まで見られました。
この時期の子どもたちは、大人を安全基地としながら環境を探索することが主な遊びとなります。子どもたちは環境を探索しに行き、いつでも安心して戻ることができる大人の存在が必要です。また、体を使って動き回り、物をさわることが、子どもにとっての重要な学習活動なのです。
したがって、保育士は子どもが動き回り、強い好奇心を満たすことができる環境をつくり、子どもの探索をあたたかく見守ることが大切です。
この時Aちゃんは、テラスの上のおもちゃだけでなく、園庭にあるおもちゃやお砂にも興味を持ち始め、自らハイハイで興味のあるものを触りに行き、探索し始めたことに、私は嬉しく思いました。子どもたちの探索する姿はとても興味深く、探索していく中で大人が思ってもいなかった遊びを見つけ出します。
時には探索の途中ではじめてのものを見つけると、大人を振り返り、このものは安全かどうかを大人の表情を見て確かめたりします。子どもにとって、安全基地となる大人の存在がとても大切です。
また、Aちゃんは園庭で遊んでいた子どもたちの姿に刺激を受け、自ら園庭に降り遊び始めたのではないかと思い、次の発達段階のお友達の姿を見ることの大切さも感じました。
これからも、子どもたちが大人に見守られながら意欲的に探索できるように環境を整え、子どもの探索をあたたかく見守っていきたいと思います。
陸野