お母さんと手を繋ぎ降園している4歳児の女の子が、「お手伝い保育行かれなかった」と話しながら降りてきました。
翌日も同じように「今日も行かれなかった」「明日行かれるといいね」と…。
次の日は、とても大きな声で、「今日は行かれたんだよ」「よかったね。でもどうして?」「あのね、私ずーとやってないんだよ、といったら、いいよって言って代わってくれたの」「それは良かったね」…と。
9時にお手伝い保育に行きたいお友達が集まり、誰が行くか決めます。初めは先生たちが決めていたそうですが、2年前くらいから、子どもたちでどうやって決めるか、考えているそうです。
その女の子は、毎回じゃんけんでは負けてしまい、悔しい気持ちでモヤモヤしていたのでしょうか。自分のやりたい気持ちが伝わらない、できないことを、どうしたら良いか考え、言葉で伝える交渉術を使ったようです。
決めるためにどうしたら良いのか、まだじゃんけんしか決める方法がわからない中で、違うやり方を提案することは、すごいことだと思います。
彼女の気持ちを、受け止めてくれた当時の年長児さん、どんな気持ちで「いいよ」と言ってくれたのでしょうか…。
やりたかったのになぁ…なのか、かわいそうだから代わってあげよう…なのか、わかりませんが、子どもたちのいろいろな思いが詰まっていたと思いました。
私はその場にいなかったので、『私ずーとやっていない!!』と言えた子、代わってくれた年長さんの気持ちを本人と確認し合い、その行動を認めあっていきたかったです。
何でも先生が決めてしまえば時間はかかりません。しかしその時の子どもたちの気持ちはどうだったのでしょうか?
これからの未来はAI時代と言われ、わからないことは検索すれば教えてくれる、必要なことはAIがしてくれる、人との関わりが少なくなる、関わらないで働いて生活ができる時代が来ると言われています。
私たちは人と人しかできない、いろいろな場面での関わりを、経験できるように環境を作っています。
子どもに考えてもらえるように、選択できるように、1人でたっぷり遊んで、みんなで関わることが楽しいこと、もちろんその中にはトラブルもあるでしょう。自分の気持ちを伝える、自分はどうしたいのか?また相手の気持ちも考える、どう思っているのだろうか?どうしたいのか?など体験していくことで協同性も育っていくのでしょう。
わたしたちはそのような環境を大切にこれからも保育していきたいと思います。
園長 木村