ある日のお昼です。るんるん組さんの食事の様子を見学しに行きました。その日は、洋食メニューの日で両手に食パンを持ち、パクパクと食べていました。「パンは、おいしいかな?」と聞くといろんな子が一斉に「おいしいよ!」「みて!」「たべる!」と話しだしました。
Aちゃんのパンのお皿を見ると、パンが整列していました。観察していると、Aちゃんは丁寧に食パンの角と角を合わせて並べていたのです。Aちゃんに話しかけました。「並べるのきれいだね。好きなの?」Aちゃんは頷き、きれいに並べた食パンを見せてくれました。きれいに並べ私に見せてくれた後、Aちゃんは満足したのか、一枚一枚食べ始めました。指でつまんできれいに整列させるなんて、すくすく組さんの頃にはできなかったことができるようになっていることに成長を感じました。
「パン、おいしいね」隣のBちゃんに話しかけました。Bちゃんは、パクパクと食パンを食べています。しかし、お皿を見てみるときれいに食パンの耳だけが残されています。「食パンの耳、とっておいているの?」と聞くと、「かたい」と言いました。続けて「ふわふわなところがすき」と言いました。「食パンの耳もおいしいよ!ちょっと食べてみる?」と声をかけると、Bちゃんは食パンをちょっとかじってくれました。ですが、それ以降は食べてくれませんでした。私の声掛けによって、かたい食パンの耳の部分を少しでも食べてみようと挑戦してくれた気持ちを嬉しく思いました。
きれいに並べたり、掴んだりといった手指の動きが、食具を持った時の動きへと繋がっていくのだと感じました。初めは、食具をすべての指で持つ手のひら持ちから、次に指を拳銃(ピストル)のようにして持つ親指持ち、最後は鉛筆持ちへと手指の発達は続いていきます。発達に限らず、たとえ途方もない道のりだとしても、最後には続けてきたものが実を結ぶのだと感じました。続けていくことの大切さをAちゃんの体験から学びました。
また、だんだんと自分の好き嫌いがはっきりし、これは好き、これはあまり好きではないと子どもは私に伝えてくれます。自分の中の好き嫌いの気持ちと向き合い、折り合いをつけ挑戦してみる。そんなことを、Bちゃんの体験から学びました。
子どもは自分で色々なことを考えて、好きなこともあまり好きではないことも自分の気持ちと向き合い頑張っているのだと思いました。続けていく大切さと共に、好きなこともあまり好きではないことも子どもたちを見習って頑張ろうと思いました。
栄養士 太田