半年ほど前に幼児組のレゴブロックが増えました。きっかけはレゴブロックでいろいろなものを作って遊ぶ子どもたちが増えたので、もっと色を増やしたら他のものも作りやすいかな?新たに板を出したら遊びやすいかな?と思ったからです。レゴブロックが増えてから担任たちの想像を超えるくらい子どもたちの遊びもどんどん変わっていきました。
Aくんは車や恐竜が好きで、レゴブロックでも乗り物や動物など単体のものを作ってはお友だちとごっこ遊びをして楽しんでいました。新たに板を出してからは、板を家に見立てて中にベッドやテレビなどの生活用品を配置していました。ここまでは他の子たちもよくやっている遊び方なのですが、Aくんは一味違った遊び方をしていました。
板の真ん中に壁のような区切りを作り、半分を家の中、もう半分を家の外に見立て、家の外には野菜を上半分だけ作って、畑に埋まっているようにしていました。その発想はなかったので感心して「それおもしろいね」と声をかけると、嬉しそうに「これはにんじんなの、抜けるんだよ」などと解説してくれました。
その話を聞いていたお友だちがやってきて、人型のブロックを作って一緒にごっこ遊びを展開していました。遊んでいくうちに「にんじんが好きなうさぎも作ろう」「ほかの野菜も埋めたい」などいろいろなアイデアが出てきて、板が1枚では足りなくなってしまいました。そこで、灰色の板が家の中、黄緑色の板が畑と決めて大きな作品にしていました。板は1人1枚というお約束も2人で遊べば2枚の板で大きな作品ができるという考えにたどり着いたようです。たくさん考えて工夫しながら遊んだり、自分の作ったものを独り占めするのではなく、お友だちと一緒に遊べるところも素敵だなと思いました。
プリンセスやプリキュアなどかわいいものが好きなBちゃんは、ある日レゴブロックで作ったエルサを見せてくれました。作り方を見たわけではなく、自分で1から考えて作ったそうです。髪の毛の部分は階段状につけて三つ編みを表現していました。Bちゃんがエルサを作った日を境に幼児組ではうきうき組を中心にいろいろなプリンセスをレゴブロックで作るブームが始まりました。アリエルやシンデレラ、ラプンツェルなど自分の好きなプリンセスを作ってはお友だちと一緒にプリンセスごっこをしています。年中児Cちゃんもプリンセスが大好きですが、自分で作るのはまだ難しく、年長児の様子を羨ましそうに見ていました。
Cちゃんは私に「私もプリンセス作りたいんだけど…」と声をかけてきました。今の時代、調べれば作り方はすぐにわかります。しかし、私はあえて「この前Bちゃんが作ってたから、Bちゃんなら作り方わかるかも!聞いてみようか!」と答えました。Cちゃんと一緒にBちゃんの元へ行き、プリンセスの作り方を教えてほしいと声をかけました。するとBちゃんは「仕方ないなぁ…」と言いながらも嬉しそうな顔をしてCちゃんのためにエルサを作ってあげていました。作ってもらったエルサで作り方を覚えたCちゃんは他の年中児のお友だちと髪の毛、ドレス、靴といろいろなプリンセスの着せ替えを作り、遊びの中で付け替えてごっこ遊びを楽しんでいました。その様子を見ていたBちゃんも年長児のお友だちと同じような遊びを始めていました。年長児が教えてあげるばかりではなく、年中児の遊びを見て年長児が教えてもらうこともあるのだなと改めて感じる一コマでした。
私たち大人は正解を教えてあげるだけでなく、しっかりと遊び込める環境を整えることで、子どもたち自身が想像し、頭の中にあるものを創造してそれぞれの世界観を作っていきます。
また、子ども同士の繋がりも大事にし、きっかけを作ることで、子どもたちは困ったら大人だけでなく、自分より年上のお姉さんお兄さんに頼ってもいいことを知ります。そしてその経験をすることで次は自分たちが年上として年下の子に優しく教えてあげるようになります。
レゴブロックという遊び1つにも様々な力が養われていることがわかりました。これからも子どもたちの力を引き出せるように環境を整え、必要な援助をしていきたいと思います。
梅原