9月の制作で和紙染めを行いました。朝の会で、和紙の折り方や絵の具を用いて子どもたちの前で実際に和紙染めを行い、終わった後に「制作したい」と何人か集まってきたので、用意していた半紙の折り方を伝え、白い所に絵の具を付けて開いて完成です。
子どもたちが次々に来るので、その都度折り方を伝えていったのですが、時には待たせてしまう事もありました。そんな時に制作をしていた子が「何かお手伝いしたい」と言ってくれたので「折り方教えてあげてね」と言うと、制作しようとしていた子どもの隣に座り私が教えていた時のように見本の紙を折ながら、制作の仕方を教えてくれました。その後もお願いしたわけではないのですが、なかなか絵の具を付けられない子の側にそっと行き優しく話しかけ、その子も絵の具を付ける事が出来ました。折り方の他にも、白い服を着ている子がいると「Aちゃんのお洋服白いからエプロン着けた方がいいよ」とBちゃんが服が汚れないようビニールエプロンを着けてくれました。自分が制作を終えた後も、困っている子ややり方が分からない子にどうやったら分かるのかを考えながら自分なりに伝えたり、どのようにしたらスムーズに行う事が出来るのか相手の立場になって考えられる姿に子どもたちの成長を感じました。
昨今、人間関係が希薄になっている現在では、自分が良ければいい、自分だけが出来れば良いと思える出来事が溢れていますが、保育園という集団の中で嬉しい時や、悲しい時に共に喜んだり、悲しんだりしてくれる友だちの存在は子どもたちにとって心の支えになります。子どもたちは、そのようなやり取りの中で、友だちの喜びや悲しみに気づき、他者を思いやる気持ちを育んでいきます。このような経験を通して、周りの人にも同じように接したり、考えたり出来るようになっていくのですね。
小さい頃から周りの人を思いやる気持ちを自然に持つ事で、助け合える社会になって欲しいと子どもたちの姿をみて、教えられた出来事でした。
中川智香子