運動会も終わってすでに10月の後半ですが、幼児組のお友だちからはそれぞれ何かをやり遂げた自信のようなものが伝わってきています。そんな中、幼児組のA君が運動会後も鉄棒の練習を頑張っていました。
「見てー」と言って運動会の時にも披露してくれた「イルカジャンプ」をしてくれて、その後も「豚の丸焼き」「足抜き・おしり抜き」と、A君が出来る技を次から次へと見せてくれました。しかし、そんな技の数々を見せてくれたのですが、どこか正しい形とは違うような、そんな違和感を覚えました。そこで私は、「こうやるともっとかっこよく見えるよ」と声をかけ、一度自分で「足抜き・おしり抜き」をやって見せました。すると「え~、出来ないよぉ」と言いながらも鉄棒にぶら下がっていました。「おなかに力を入れるんだよ!大丈夫出来るからやってごらん!」と声をかけてみると「ふ~んッ」と力を入れて挑戦していました。初めはぶら下がっているだけで、腹筋の力で足を持ち上げることは出来なかったのですが、途中からコツをつかんだのか、ひざを曲げながらグイッと足を持ち上げていました。すると、ドンドン上達していき、ついに足先が鉄棒と腕の間を通りました。「できたー!!」といってそのままの勢いでおしり抜きもしていました。そして再びこちらを向きなおり、とてもうれしそうなキラキラした瞳をしていました。その後もA君は何度も繰り返し「足抜き・おしり抜き」をして、とてもご満悦でした。
A君は運動会の前には、鉄棒が好きで好きで仕方なく毎日鉄棒がしたいという姿は見られませんでした。しかし、運動会で保護者の皆さんに競技を見て頂いたことで、A君の鉄棒に対する意欲は高まり、出来ないと思っていた技が出来たことで、さらに盛り上がりました。
運動会は、当日までにすごく気持ちが盛り上がる子もいれば、A君のように運動会後に意欲が高まる子もいます。このように行事は発達を見せることに加えて、子ども達の意欲を高めるきっかけの場にもなっています。
運動会をきっかけにさらに主体的に取り組むA君の姿は、嬉々としていて、どんなことでも出来てしまいそうな気がします。今では、前回りをしたいと言ってくるようになり、体を支えてあげながら前回りのやり方を体になじませてチャレンジしています。子どもそれぞれに気持ちの盛り上がり方は違います。その時々で子どもの気持ちを見逃してしまい、寄り添ってあげられないということがないように、子どもの今やりたいという気持ちが高まっている時こそ、しっかり受けとめて、のばしてあげたいです。
一柳 翔平