秋も深まり、子どもたちの食欲もより増してきています。ある日、ひよこ組とあひる組の食事の様子を見に行くと、Aくんがお椀を持っておかわりを欲している場面がありました。一見、日常的な場面ですが、Aくんは少し前まで食が細く、玄米ごはんや野菜が苦手で、食に関してあまり意欲がない方かと感じていましたが、数ヵ月の間にとても良く食べるようになりました。給食の味付けも理由の一つかと思いますが、今回は味付け以外の給食に関する工夫についてお話ししたいと思います。
木月保育園の1歳半からの乳児の給食は、乳児用として別には作らず、提供は多くの場合が幼児と同じ給食です。そのため、具材の大きさや硬さは、乳児でも頑張れば食べられる、幼児でも食べやすい適度なものとなっています。全体の給食を、乳児に合わせて作るとなると、具材を小さく軟らかくするだけですので、比較的簡単かと思います。ですが、具材が小さく軟らかい場合、誤飲や丸飲みに繋がり、咀嚼力も付きませんので、小さければいい、軟らかければいいというわけではありません。あえて具材は大き目に切っています。肉には肉の、魚には魚の、野菜には野菜の本来の硬さがありますので、それらを生かしつつ調理しています。このような配慮により、食事の際に大きい具材を歯で噛みちぎったり、かぶりついたりすることで、必然的に噛む回数が増えるので咀嚼力が鍛えられ、唾液の分泌量も増えることで、具材を口の中で上手にまとめる機能も発達します。誤飲の心配もありますが、各クラスの保育士が注意深く見守りながら子どもたちと一緒に食事をする、安心できる体制をとっています。
Aくんは少し前まで体系もやせ型で心配でしたが、今では身長も伸び、体重も増え、日中も活発です。食事中はいつもニコニコで、お友達や先生と楽しそうに食べています。おかわりは食への意欲と直結しますので、こんなに食べられるようになったのかと本当に喜ばしい気持ちになりました。各クラスのお友達も保育園にだいぶ慣れ、最近ではAくんのように食への意欲が高い子が増え、クラスから「おかわりをもっと下さい」と毎日聞こえてきます。これからも、おかわりをしたくなるような美味しい給食作り、子どもの食事機能の発達を促す給食提供に励んでいきたいと思います。
栄養士 中島 啓太