「お当番、見てきます!」そう保育士に声をかけ、保育室から階段の方に行く子ども達。「今日はAちゃんが、お当番だね!」そう友だちに言われて、嬉しそうにニコニコ笑うAちゃんの肩には、お当番バッチが揺れています。
Aちゃんが楽しみにしている、木月保育園のお当番さんは、大忙しです。朝は事務所に人数を伝えに行く→給食室に献立を聞きに行く→朝の会の進行→昼食のレストラン準備。お花やティッシュを並べます。→配膳が始まったら、ぞう組さんは主菜や副菜、デザートの盛り付け。きりん組さんはお茶を注ぎます。→午後のおやつを食べたら、帰りの会の進行をして、おしまい。大人だったら「え~、大変そう!」と思わず言ってしまいそうな、お当番さん活動の数々。でも子ども達は「早くお当番さん来ないかな~」と楽しみにしています。
先日も午前中の太鼓指導が長くなり、年長さんの遊ぶ時間がなかったので、「今日は、お当番さんしなくていいから、遊んでおいで。」と話すと、「私、お当番さん大好きだからやるよ!先生も、お当番が居なかったら困っちゃうでしょ?」なんて言われてしまいました。年少さんでも、「先生、今日はBのお当番?違うの?早くお当番さんしたいな~」なんて言葉をよく聞きます。木月保育園のお当番さんは異年齢で構成された8グループあって、8日に1度しか回ってきません。自分のお当番の日を、心待ちにしている子ども達です。
そんな保育園の中でのお当番活動って、どんな意味があるのでしょう?子ども達は、保育園の集団生活で様々な経験をします。その経験を通して、集団の中で、どう行動すれば良いのかを学んでいきます。当番活動は、自分の役割を持ち責任を持って行動する経験の為に行います。例えば昼食前のレストランの準備。お当番さんは自由遊び中に、皆の為に少し早く遊びを切り上げてレストランの準備を行います。お当番さんが居ないとレストランはオープン出来ません。8~9人で協力して手分けしてテーブルを拭き、シートやティッシュや花を並べていきます。
こうしたお当番活動では、自分の役割を時間内に責任を持って終わらせる必要が出てきます。時間内に終わらせる為には友達同士で協力し、調整したり、我慢することも必要になります。木月保育園は、異年齢のグループによるお当番さんです。年長児の中ではリーダー格にはならない子どもでも、異年齢のグループではリーダーになれます。年中や年少の子ども達に仕事を割り振ったり教える力が自然に身についていきます。また年中や年少の子ども達は、そうした年長児の姿を見て憧れを持ち、仕事のやり方を自然に継承していきます。こんなお当番活動をイヤイヤやっているのではなく、心待ちにし活き活きと取り組む姿を見ると、子ども達は任された役割を主体的に取り組めているのだろうと思います。
そんなお当番さん達に、日々私達保育士も助けられ、感謝の気持ちでいっぱいです。頑張れ、幼児組のお当番さん!
中澤 明日香