木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「笑顔+協力+愛情」(3,4,5歳児幼児組編)

2017.07.03

 木月保育園では毎年6月にきりん組のお友達が翌年分の甘茶をつくっています。今年度の甘茶作りは6月15日に実施しました。前日にきりん組の子どもたちに甘茶作りをすることを伝えました。保育士が子どもたちに「甘茶っていつ飲むものだっけ?」「どんな味がするお茶だっけ?」と問いかけました。すると、一斉に手があがり「おはなまつりー」「ちょっとあまいー」「ちょっとにがくておいしくない~」などと色々な言葉が聞かれ、なんとなくみんな甘茶のイメージがつく様子でした。そこで、「今年飲んだ甘茶は今年のぞうさんが作ってくれたもので、来年の甘茶はみんなが作ってあげなくちゃいけないんだって~」「とっても難しくて大変だけど頑張れるかな~」と話すと、みんなの顔つきがいつもとは違う真剣な表情に切り替わったのです。
 さぁ、当日になりました。天気も良く晴れ、気候もばっちり!甘茶作りの前に秋のお楽しみとなるさつまいもの苗植えも行くことになっていたので、虫よけ対策に長袖長ズボンに着替え、いざ出発!さつまいもの苗植えを終え、メインの甘茶摘みとなりました。甘茶作りの先生は副園長先生です。甘茶の葉はお寺の入口のそばにありました。アジサイの葉に似ているのですが、甘茶は、アジサイ科の落葉低木ガクアジサイの変種であるアマチャでその若い葉を揉み、乾燥させたものでそれを煎じて作るものなのです。
 副園長先生が甘茶の葉を摘む前に怖いことを教えてくれました。「こっちの葉っぱは毒があるから間違えて摘んじゃだめだよ~」と。毒の葉とは・・・なんと見慣れているアジサイの葉だったのでした。アジサイには毒があるため、わたしたちは食べることができないそうなのです。急に「毒」がある葉っぱが隣にあるという話を聞かされてびっくりしていましたが「うん、わかった~」と子ども達からは返事がかえってきました。甘茶摘みに人一倍興味をもったAちゃんは保育士に質問攻めでした。「ねぇ。虫にたべれている葉っぱは取っていいの?」「わ!くもの巣があった~」「こっちにも虫がいる~」と怖がっている様子だったので、保育士が「大丈夫だよ!一緒に葉っぱ選ぼうね」と声をかけるとAちゃんも安心しました。一人5枚の甘茶の葉摘みが積んだ後はテラスに移動し、甘茶作りの始まりです。葉を掌に載せて、はじっこからクルクルと丸めていくのです。保育士が見本をみせると、見様見真似でクルクルする子ども達。 「これでいい?」「できた~!」「手が甘茶のにおいになってきた~」「おいしい甘茶になるかな~」という声が聞かれた中、先ほどのAちゃんから「ボロボロになっちゃったぁ~」なんていう悲しげな声が。夢中になって葉っぱをクルクルするものの、あまりにも力が入ってしまって葉がボロボロになってしまっていたのでした。「頑張ってクルクルしていたから力が入って葉っぱがちぎれちゃったんだね~。大丈夫だよ。こっち葉っぱでもう一回挑戦してみようか!」と保育士が新しい甘茶の葉を渡すとほっとした様子でまた甘茶作りを始めたのでした。きりん組のお友達の集中力が途切れそうな頃、ぞう組のお友達が「手伝ってもいい?」「やらせて!」と颯爽と参加してくれました。経験の力は大なり!!去年経験した事をしっかりと覚えていて、とまどいながら葉をクルクルまるめる初心者のきりん組のお友達に、年長さんのBちゃんが「ここはこんな感じだよ~」「大丈夫、上手だよ。先生に聞いてごらん」と、ちびっこ先生になってくれたのでした。そして、その言葉はきりん組の疲れきっていた気持ちを盛り上げてくれたのでした。いっきにやる気がアップしたきりん組のお友だち!ぞう組のBちゃん、Cちゃん、Dちゃんを交えながらお寺で摘んだ100枚以上の葉をクルクル丸め終えることができたのでした。終わったときの子どもの表情は達成感に満ちた笑顔が見られました。「手が茶色くなった~」「手のにおいになった~」とうれしそうな声が聞かれ、不安そうにしながら頑張っていたAちゃんも最後まで頑張り「おいしい甘茶になるかな~」と満足している様子が見うかがえたのです。
 今年の甘茶はきりん組のお友達の力だけでなく、ぞう組のお友達の協力のもとできあがりました。簡単ではなかった甘茶作り。手が甘茶のにおいになりながら、みんなのために頑張って作った甘茶。うまく葉を丸めることができた時のあの笑顔を、甘茶の葉っぱに愛情として注ぎいれます。自分たちで作った甘茶の味、今まで感じた「ちょっとあまい~」「ちょっとにがいくておいしくない~」と言っていましたが、今までの味と違う味に感じるのでしょうか?子ども達の経験は力なり!きっと、来年の6月の甘茶作りの時、来年のきりん組さんのサポート役になってくれることでしょう。

近野 典子

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