幼児当番に入った時、最近僕は2階のホールでパーテーションを組み立ててかくれんぼやおままごと、お家ごっこなどで遊んでいます。子どもたちは毎回組み立て方や遊びの変わるパーテーションで何が起こるのかとワクワクして待っていました。そんなある雨の日のこと、パーテーションの上にマットを置いて屋根に見立ててお家ごっこをしていました。いつものように数名の子どもたちが集まってきて最初はパーテーションを開け閉めして「いってきます」「ただいま」とごっこ遊びをしていました。それを遠くで見ている5歳のA君。A君はいつも大きな声で「俺、ブロックやろう!」「俺、カプラやろう!」とアピールしていましたがこの時はいつもと少し違いました。「どうしたの?」と聞くと小さな声で「俺もやりたい」と呟きました。どうやら率先して遊ぶより、一緒に遊ぼうとする方がA君には難しいようでした。「どうする?」と聞いても「見てる。」と気を落とした顔をしていました。しばらく僕の隣でお家ごっこを見ていると、子どもたちが突然「7ひきのこぶたをやろう!」と言い出しました。本来は「7ひきのこやぎ」ですが、子どもたちの中では「7ひきのこぶた」だそうです。さて、この物語には狼が出てきます。子どもたちはみんなこぶた役をやりますがどこにも狼役はいません。するとA君が「俺が狼やるー!!」と勢いよく言いました。A君のする狼役に子どもたちは楽しそうに「きゃー!」と興奮していて、A君も笑いながら狼役を演じました。
このA君のかかわりはいつも自分が中心に遊びを提案していることに対して、仲間に入りたいけど「いれて」と言えない気持ちの表れが描かれています。この時のA君は仲間の入り方がわからないけど一緒に遊びたい気持ちがあったと思います。いつもは遊びの主役になっているようでも子どもたちのかかわりは様々なようです。
かかわりを作るには様々な方法があります。遊び場の提供、必要なルールで行うゲーム等。しかしこれらには信頼関係が必要です。信頼関係とは集団遊びや生活等で目的や遊びの共有をし、協力・相談をすることで育まれていく力です。こういった信頼関係の中、自分の考えを伝えたり、時には思い通りにならないことに直面して自分の気持ちを抑制することもあります。
このように今回A君は葛藤の中、一緒に遊びたい気持ちを我慢して、ようやく「俺が狼やるー!!」と伝えて仲間に入ることができ、とても満足気に遊んでいました。
多くの友だちや遊び場を共有することで育まれるかかわり。そこには様々な想いや考え、葛藤があり、それらを交えることで育まれていきます。子どもたちはこれから色々な経験をして色々なことを考え、想い、時に葛藤して成長していきます。そんな子どもたちの成長を一つ一つ見守りそして支えていき、僕も共に学んでいけたらと思います。
岡本万太郎