「ごめんねは?」子ども同士のトラブルの後、ついつい言ってしまいたくなる言葉。「ごめんね」って謝っておしまいにしたい。そんな大人の気持ちが表れている言葉だと思います。
7歳の娘と、3歳の息子を持つ2児の母の私も、家ではついつい言ってしまいます。「ねねにごめんねは!?」って。でも、そのあとハッとするんです。ごめんねをしても、子どもが自分のしたことを理解していなければ言葉は言葉でしかないんだなって。必要なのは、「ごめんね」という言葉じゃなくて、子ども自身がやってしまったことを理解することなんだって。
だんだん自己主張の出てくる1歳児クラスの子どもたち。お友だちの持っている玩具が欲しかったり、取られそうになったりしてお友だちを叩いてしまったり押してしまったり…というトラブルが多々あります。そんな時、叩いてしまった子に「ごめんねは?」と言ってしまうのは簡単です。でも、それでは子どもは理解できない。
ある日、Aちゃんが使っていた玩具が欲しくて、Bちゃんが叩いてしまいました。「Aちゃんが使っていた玩具、欲しかったよね」とまずは、気持ちを代弁してあげる。「AちゃんBちゃんに叩かれて痛かったって。Aちゃんどんなお顔してる?」BちゃんはAちゃんの顔をじっと見ています。Aちゃんは泣いています。BちゃんはしばらくAちゃんの顔を見たあと、そっと頭を撫でていました。もちろん、この時にAちゃんのフォローも忘れてはいけません。「痛かったね。」「Bちゃん、玩具欲しかったんだって」「今Bちゃん考えてるから、待っててあげてね」etc・・・。毎回、すぐにうまくいくわけではありません。繰り返し、繰り返しその子に合った言葉で伝えていく。繰り返していくことで、だんだん理解していきます。
幼児組のお友だちでもトラブルはあります。幼児組のCくんとDくん。CくんがDくんをつねってしまいました。「ごめんねはー!!??」Dくんは怒っています。Cくんも口をへの字に結んで、怒っています。Cくんに話を聞くと、Dくんがやっていたことが危なくて、近くにいた乳児組のお友だちに当たりそうだったから、止めたかった・・・とのこと。それを聞いてDくんは、「そっか。危なかったんだ。」と納得。「つねっちゃったのはどう?」と聞くと、Cくんは少し間を空けて「ダメだった・・・」そう言った後、「Dくん、ごめんね」と言っていました。Dくんも「危ないことした僕もいけなかったよね。ごめんね。」と謝っていました。
子どもにはその子に合った考える時間が必要です。すぐに考えて、納得できる子どももいれば、ゆっくり時間をかけて聞くことで、自分のやったことを振り返えることが出来る子どももいます。ちょっと部屋を移動して、静かな場所で話を聞いたり、ひとつずつやったことを振り返りながら話をしたり、その子に合った対応をしてあげることが大切です。
また、幼児組になったからすぐに出来るようになるわけではなく、乳児組の頃から積み重ねていくことで、だんだんわかっていきます。小さいから、わからない。だから「ごめんね」で終わらせよう、ではなく、小さくてもしっかり自分がしたことを理解出来るような言葉かけが大切なことだと思っています。
ただの言葉としての「ごめんね」ではなく、やったことを振り返って心から伝えられるような関わり方を、今後も心掛けていきたいと思います。
早野 恵美