4月の半ば、子どもたちも新しい環境に少しずつ慣れ、日々を楽しく過ごしていました。この日も園庭に出て、砂場や三輪車で遊んでいました。
給食の支度ができたので、少人数ずつ声をかけ、部屋に一緒に入り給食を食べていました。ある程度グループごとで部屋に入っていたので、そのタイミングで入る予定のA君に「給食できたっていうから入ろか??」と声をかけても「いやだ」と応じてくれませんでした。私は「じゃ、また声かけるね」と言って別の子に声をかけに行きました。しばらくして、A君はみんなが部屋に戻ると分かったのか、様子を見て判断したのか自分からテラスにあがり靴を脱ぎ始めました。すると、A君の横で靴下が脱げずに靴下のつま先を少しもみくちゃにしてイライラしているB君がいました。A君はそれを見るやいなや、何も言わずにB君の靴下を引っぱり脱がしてあげていました。そして、B君の靴の中に靴下を入れると、自分の靴下に目をやりました。そして、とても小さな声で「B君…」とボソッと呟きました。実はA君もまた靴下が上手に脱ぐことができないのでした。しかし、B君はそれに気が付かずやってもらったらそのまま部屋に戻ろうとしてしまいました。一連のやりとりを見ていたので、思わず「A君何か言ってたよ??」とB君に声をかけてしまいました。しかし、それでもB君は靴下のことだとは気が付かずに2人でテラスで遊び始めてしまったので、結局その日は私が脱がせて部屋に戻り給食を食べたました。
まだ、みんながそうだというわけではありませんが、少しずつ友だちとの関わりを持とうとする姿が見られてきました。同時に友だち同士のやりとりで自分の気持ちを主張したかったり、気持ちをうまく伝えられず、それがきっかけでトラブルになってしまったりする事も見られます。そういった経験を重ねながら少しずつ子どもたちは色々なことが出来るようになっていくんですね。
ちなみに、その数日後A君が先にテラスに座っていると、B君がやってきて、靴下を脱がしてあげようとする姿がありました。2人はとても嬉しそうにしていました。
一柳 翔平