りす組に生き物のお友だちが仲間入りしました。それは・・・カブトムシです!名前も子どもたちが決めて、雄が「おにくん」(子どもたちが鬼を好きなことから)雌が「もぐちゃん」(よく土の中を潜っていたから)と名付け、りす組で飼うことになりました。さて、子どもたちとカブトムシ、どんな化学反応が起きるのでしょう・・・
朝、私がりす組に入ると早速「おにくん見たーい!」と、声が聞こえます。ケースから出し、子どもたちの前にカブトムシを移動すると、目の前で動き出すカブトムシに大興奮。「きゃー動いた〜!」「Aちゃんの方に向かってくるよ!」と、芸人さんのオーバーリアクションくらいの声で、カブトムシの行動に驚いていました。(笑)そして、観察しているだけでは気持ちが収まらなかったのか手を伸ばし、『ツンツン』と、今度はカブトムシの胴体を触り始めました。そしてまた、「きゃー!」と大きな声をあげ、触っては「きゃー!」を繰り替えてしていました。触りたいけど、どんな反応するか怖い・・・という気持ちの中で、触ることができた嬉しさからの「きゃー」だったのかもしれませんね。そして、皆がカブトムシの胴体を触る中、1人果敢にもツノに手を伸ばしたBくんがいました。Bくんは、恐る恐るツノの先端に手を伸ばしました。『ツン』触り終えるとすぐに手を引っ込めて「痛かった・・・」と一言。Bくんの中で何かを感じとった表情で語っていました。胴体とは違った感覚だったのですかね?
またある時、カブトムシのゼリーがなかったので、新しいゼリーをあげることにしました。そして、カブトムシがゼリーに向かって歩いていく様子を子どもたちが観察していると・・・「もくちゃんご飯だよ〜食べて〜」ゆっくりゼリーまで進んでいたので「頑張れ〜!!」とカブトムシに声をかける姿がみられました。その時は、今はゼリーに向かって頑張っている時だと分かったのか、カブトムシには手を触れず、みんな応援をして観察していました。
カブトムシと触れ合った子どもたちの反応から、カブトムシの体や行動など子どもたちにとって、全てが驚きの連続で興味深いものだったのだと思いました。実際に「見て」「触って」生き物出会うことで自らの気づきが生まれ「もっと触ってみたい」という意欲に繋がっていきました。このことから、実際に本物に触れ合うという経験が大切なのだと感じました。また、カブトムシに話しかける姿が見えるなど、子どもたちの中で愛着も育まれていました。
保育所保育指針には環境の内容について「自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く」と記されてあります。大人にとっては当たり前と思う瞬間も、子どもには本物の生き物に触れる経験が、たくさんの不思議やワクワクに出会う瞬間でもあります。また、子どもが自然の大きさ、美しさ、不思議さに直接触れる経験は、心の安らぎ、豊かな心情、好奇心、思考力、表現力の基礎が培われると言われています。虫が好きな子どもは自然と園庭などで、虫を見つける機会が多いと思いますが、虫が苦手な子どもは、なかなか自分から出会う機会は少ないと思います。そこで、あえて保育者が生き物に触れ合える環境を作ることで、虫が苦手な子どもの興味を広げたり、より子どもの好奇心を育んだりして、子どもたちの「気づき」に繋げていけるのではないでしょうか。
これからも子どもたちの本物に触れ合う経験を大切にしながら、保育を行っていきたいです。
小池達哉