ある日の出来事。
「Aちゃんから『Bちゃんは、折り紙の天才だね!』て褒められたんだよ!」ってすっごく嬉しそうに話していたんですよという報告を、Aちゃんママから受けました。ちょっとしたお話が、時に子どもの成長を感じ、胸が熱くなってしまうことがある。
Bちゃんは、人一倍甘えん坊だし、使ったおもちゃは片付けないし、イタズラもいっぱいするし。「本当にもう!」と心の中で思ってしまうこともしばしば…。
でもよく見ていると、泣いている子を心配そうに見ていて、涙をティッシュで拭いてあげたり、友だちの悲しさや嫌なことを、「やだよねー!」って共感してくれたりと、良いところが沢山。そんなことを、Aちゃんママからの報告で、振り返ることができました。
その時にこんなことを思いついたんです。「先生、○○ちゃんが○○していて、素晴らしいです!」なんていう報告があった日は、記憶になく、「先生、○○くんが○○してくるー!」「先生、○○ちゃんが、○○貸してくれない!!」と毎日、クレームの嵐なわけですが…
クラスのみんなが、どのくらいお互いの良いところに気づいているのか、聞いてみたいなって。そこで、クラスのみんなを集めて、お友だちの良いところを発表してもらいました。
「笑顔が素敵」「積木が上手」「虫を捕まえるのが上手」「一緒に遊んでくれる」「本を読むのが上手」「お山を作るのが上手」「鉄棒が上手」「友だちがいっぱいいる」「走るのが上手」「なわとびが上手」「跳び箱が上手」「お手伝いをよくしている」
その他たくさん友だちの良いところを沢山挙げてくれました。まだまだ、言葉が足りないところも沢山ありますが、想いがしっかり伝わってきました。みんな、ちゃんと友だちの良いところに気づいているんだなぁと感心しました。子どもから教わることは毎日沢山あります。
「先生、顔がコワーイ!」と言われた日には、帰り道に反省するし、
「先生、かわいい!」と言われたら、それだけで、1日ご機嫌になっちゃうし…。そう!子どもたちもそうなんですよね!!褒められることは、誰だって嬉しいんです。
脳科学の世界でも、「褒める」といことは、「脳の報酬系」を活性化させるという意味でとても良いことと言われています。脳の報酬系とは、分かりやすく言うと、何らかの欲求が満たされたときに活性化し、その個体に「気持ちいい」という感覚を与えること。例えば、のどが渇いて仕方のない時に、冷たい水を飲むと、頭の中を「気持ちいい!」感覚が駆け巡ります。このとき、報酬系が活性化してドーパミンという物質を放出していると考えられています。最近の研究では、ドーパミンは脳の構造の変化に影響を与えていることが分かってきました。簡単に言えば、脳には、ドーパミンが得やすいように、自らの構造を変えようとします。例えば、折り紙を頑張っている時に褒めてもらうと、折り紙をするのに必要な神経回路が強化され、より上手になる...。ひとつの可能性として、こんなメカニズムが推測されます。
では、ただ褒めるのではなく、上手に褒めるためのポイントがあるそうです。
●「具体的」にほめよ
●「すかさず」ほめよ
● 目標は「低く」せよ
この3つプラス、何か進歩があったら、すかさず褒めることも大切です。脳はいつでも、褒められたがっています。これは、脳が自らをよりよいものとするために持つ基本的なシステムだそうです。
まずは、大人も子どもも、褒められることは嬉しいということを忘れずに、子どもたちと関わっていきたいと思いました。
眞弓 知子