最近、あひる組の子どもたちはやりとりを自分たちでできることが増えてきました。ひよこ組の言葉を話し始める前からずっと伝え続けてきた「かーしーてー」「あーとーでー」というやりとりを、保育士が介入しなくてもできるようになってきている子が少しずつですが、増えてきているのです。
あひる組になってから、「かーしーてー」と段々に言える子が増えてきていましたが、中々お友だちが「いいよー」か「あーとーでー」と言われるのを待つことが難しい、あるいはその言葉を言わずにおもちゃを取られると思って逃げてしまう子がほとんどでした。しかし、何度も何度も繰り返し「使いたいねー。でも、使いたい時は勝手に取られたら嫌だよね?まずは『かーしーてー』しようね」と伝え続けてきたことを、子どもたちが理解し行動できるようになってきたのだと感じています。
人との関係を築いていく上で、コミュニケーションのやりとりというのはとても重要です。その為には、まず子どもの気持ちを汲み取って、相手に伝える言葉や方法を教えてあげることが大切です。取ってしまうのがいけない行為だったとしても、その「使いたい気持ち」は否定されるものではありません。その気持ちを受け止めてあげた上で、他者とのやりとりを丁寧に教えてあげれば、子どもはやりとりの大切さを理解していってくれると思います。
乳児期の脳の発達には、応答的な言葉がけが影響するということも最近研究で明らかになってきています。応答的な言葉がけとは、子どもたちが何かを伝えようと言葉を発した時に「そうだね、○○があるね」と愛情を込め、肯定的に返事をしたり、「○○ちゃんはどうしたいの?」と子どもの気持ちを聞いて、子どもの返答に対し「○○ちゃんは〜したいんだね、じゃあ○○しようね」などと子どもの気持ちを受け止めたやりとりをする言葉がけのことを言います。そして、脳の大きさは乳児期の関わりによって決まってくるそうです。
とても重要な時期でもある乳児期ですが、大変なこともたくさんあると思います。しかし、その子の気持ちを受け止め、その上でどのように他者と関わっていくことが大切なのかを伝え続ければ、いつかきっと上手に他者と関われるようになってくると思います。なので大変な時こそ、とても難しいとは思いますが、その子の気持ちを落ち着いて温かく受け止め、やりとりの仕方を丁寧に伝えるような応答的な言葉がけを心がけてみて下さい。その親御さんの苦労は、必ず子どもたちの心の成長の支えとなり、きっと報われる時が来ると私は信じています。
落合 みお