秋も深まり、給食で使う食材もさんまやれんこん、柿といった秋のものが多くなってきました。初の食材には、子どもたちの興味津々な様子が見られます。柿が出た際には、幼児では「久しぶりに見た」や「お家でも食べているよ」など、乳児では「オレンジ色だね」や、ヘタの部分を見て「お花みたい」など、それぞれ思ったことを教えてくれます。9月にはさんまの食育指導もおこなったため、私の姿を見かけると「さんま食べたよ」と教えてくれる子もいました。
今回は、さんまの食育指導でのエピソードをお話したいと思います。指導が始まる前に、幼児のところへさんまの入った発泡スチロールの容器を持って行くと、中身が見えていないのにも関わらず、季節柄か「さんま?」と聞かれました。「なんだろうね」と返すと、笑顔で戻って行きました。指導を始め、発泡スチロールのふたを開けると「やっぱりさんまだ」といった声が聞こえてきます。食べたことがある魚について聞いてみると、みんな口々に沢山挙げてくれ、中には「大根おろしをかけて食べると美味しいよ」と食べ方まで話してくれた子もいました。さんまの栄養や旬について説明した後に魚をさばいていくと、「気持ち悪い」や「かわいそう」などといった声が聞こえてきます。指導後には、自由に触らせる予定であったため、触りに来てくれるか少し不安にも思いましたが、沢山の子が興味をもったようで、「プニプニしている」や「目が大きいね」といった感想を聞かせてくれました。
食育で身に付けることとして、食べ物を大事にする感謝の気持ちや社会性、栄養バランスの摂れた食事、食の選択力、地域産物や歴史といった食文化の理解などが挙げられます。指導後の給食では、「さっきのさんまだ」や「さんま美味しかったよ」といった感想を教えてくれました。その中でも一番印象に残った感想が、「さんまにごめんねって思いながら食べたよ」です。指導や普段のやり取りの中で、こちらがハッとさせられるような感想を子どもたちが教えてくれることがあります。そのような気付きを通して、子どもたちに食への興味・関心を持ってもらえるように、こちらがしっかりサポートをしていきたいと思います。
東 裕奈