木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「私はやらない」2歳児りす組編

2019.11.11

みなさんは<子どもの主体性>と聞くと、どのような子どもの姿を思い浮かべますか?「あと少しでできる前回りに挑戦する姿」「子ども同士でやりとりをして遊びが展開されていく姿」など、様々な<子どもの主体性>があります。そんな中で「これも子どもの主体性なのでは??」と私が思った日常のエピソードをご紹介します。

9月。木月保育園に新たにアスレチック遊具ができました。新しいアスレチック遊具は子どもたちに大人気で、急げ急げと言わんばかりの勢いで、テラスから遊具向かっていきます。そんな中、りす組のAちゃんもアスレチック遊具へ向かっていきました。

Aちゃんはジャングルジムが上手な子で、足と腕をうまく使い、すいすいと一番上まで登ことができます。アスレチック遊具も入り口の坂もすぐに駆け上がり、向こう側への橋となっている、V字ブリッチもすぐに渡ることが出来向こう側にたどり着くことができました。Aちゃんが次にやろうとしたのが登り棒でした。登り棒を使って降りられればすぐに下に行くことができるのです。Aちゃんは棒を掴み降りようとしましたが、下を見て少し怖いと感じたのか、その場で止まってしまいました。Aちゃんの運動発達なら落ちることはないと思い、少し離れて様子を見守ることにしました。Aちゃんは足を伸ばして足で棒をつんつんと触ったりした後、次に並んでいたBちゃんに順番を譲り、Bちゃんがするするっと降りていく姿を見ていたのです。なぜか、Aちゃんは登り棒のそばに座り込んでしまったのです。かれこれ3分ほど座っていたでしょうか。やっと動き出したAちゃん、登り棒をせずに最初に渡ってきたV字ブリッジをもう一度渡って降りてきたのです。その後アスレチック遊具をやめて他の遊びをしていました。

Aちゃんは自らの判断で登り棒を降りずに、やらないという選択をしていました。その姿を見て、やることだけが選択(Aちゃんの主体性)だけでなく、やらないという選択もAちゃんの主体性だったんだと感じるとともに、今の自分にはまだ無理だというみきわめる判断能力がその子には育っていることに気付かされました。

保育所保育指針に子どもの主体性について

「子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体性であり、保育者は「頑張って!」と応援するだけが、子どもの主体性を伸ばす関りの一つなのかもしれませんね。

冒頭でもあったように、<主体性>と聞くと子どもが挑戦している様子や積極的な様子を思い浮かべがちになってしまいます。私自身もそう思っていました。しかし、子どもの主体性において本当に大事なのは、一人ひとりの気持ちを大切にすることなのかもしれませんね。

 

 

 

 

小池 達哉

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