初夏の陽気の中、子どもたちは汗も気にせず、元気に遊び回っています。子どもたちと同じように元気に活動を始めたのは園庭の虫たちも。虫好きの子どもたちは目を輝かせて、地面とにらめっこしながら虫を探し、カップに集めて楽しんでいます。
その中で、ぞう組のAくんは特に虫探しに夢中な男の子です。園庭に出ると、カップとキックボードのセットで園庭を走り回りながら、虫をどんどん見つけていきます。Aくんの中に虫を探すなら『ここ!』という所があるのでしょうか。あっという間に見つけています。黙々と集める姿はまさに職人です。
これまではAくんは見つけて満足感・達成感を得ていました。最近はそこにうさぎ組やきりん組の子どもたちが覗きに行くようになりました。「みせて」「さわりたい」という声に、「いいよ。やさしくだよ」など口ぶりは(しょうがないな~)といった感じですが、うさぎ組・きりん組の子の(すごい)という素直な思いを感じてか、口元はにんまりしているAくんです。
さらにその輪は広がり、他の虫探しをしている男の子たちがAくんの元に集まるようになりました。それぞれが見つけた虫を見せあったり、どこにいたかなどお互いの情報交換をしたりしています。
子どもたち一人ひとり好きなことや得意なことがあります。ここではAくんの好きな虫探しは自分だけで楽しんでいた世界だったものが、周りのお友だちに認められ、憧れの気持ちを向けられました。そして、同じ好きなことを通して、お友だちと発見や感動を共有しています。これらの経験はAくんの自信に強く繋がっているように思います。それを感じさせるように、職員にも考えたことやできたことなど力強くお話をすることが多くなり、一段とお兄さんらしくなっています。逆に「こうしたらいいんじゃない」と提案してくれることもあります。
子どもたち一人ひとりが自分の好きなことや得意なことを見つけることは、子どもたちの成長や人間関係にとても大切であることを改めて感じました。大人にとって小さなことでも、子どもたちにとっては大きなきっかけになるかもしれません。ちょっとした興味にも目を向け大切にしていきたいと思います。幼児組 坂本 摩利