幼児組では年長児のぞうぐみさんが、年中、年少児の寝かしつけを当番制で行っています。とんとんしてあげることはもちろん、着替えのお手伝いやおしゃべりをしているお友だちに「静かにするんだよ」と声掛けをする姿も。薄暗い空間での寝かしつけなのでうとうとしながらとんとんする子もいます。寝かしつけの中で今まであまり見られなかった姿を見せてくれたお友だちがいました。その日寝かしつけ当番だったSくんは順調に数人寝かしつけ、誰かとんとんする子はいないかなとキョロキョロ探していたので、なかなか寝られずベッドの上で動き回っているお友だちの寝かしつけをお願いしました。するとSくんは優しくとんとんしながらその子に向かって変顔をし始めました。しかも百面相の様にどんどん変わっていくのです。そのSくんの変顔を見たその子は「きゃっきゃっ」と笑って動き回るのをやめました。そして繰り返される変顔を嬉しそうに見ながらもだんだんと目が閉じていき、とうとう眠りにつきました。ただとんとんをするだけでなく、すっとその子の懐に入り寝かしつけをしてしまったSくん。その顔はなんとも自信に満ち溢れた顔をしていました。年上のお友だちは教えたり世話をしたりする役割を担うことによって、年上としての自覚が芽生えます。また、年下の子どもから慕われることによって自信にもなります。子ども同士の関わりによって、コミュニケーション能力を高めていくことにも繋がっていくのです。もう一つ寝かしつけで素敵なエピソードがありました。ある土曜日のことです。
そろそろお昼寝という時間帯に年中児のKくんが、「今日はぞうくみさん誰もいないから赤ちゃんのとんとんするよ」と言ってきたのです。その日は年長児が1人もおらず、年中児もKくん1人でした。「じゃあKくんお願いね」と頼むと張り切って寝かしつけをしてくれました。普段ぞうぐみのお兄さんやお姉さんが寝かしつけをしているところをしっかりと見ているからこそ出てきた言葉であり、今いるお友だちの中で自分が1番お兄さんだということを自覚していることもKくんの言葉からわかります。その場にいる自分という存在の認識である自己認識、周りに対する他者認識、そしてその双方や環境から社会認識へ繋がっていきます。まだまだ体力的に自分自身もお昼寝が必要なKくんは寝かしつけをしながら船を漕ぎ、そのまま寝てしまいました。しかし、頑張って寝かしつけをしたこと、自分から寝かしつけをすると言ってくれたことを午睡明けに感謝すると、とても嬉しそうに「だってお兄さんだからね」と答えていました。間違いなく今回の寝かしつけはKくんにとって自信に繋がったことでしょう。幼児組では異年齢保育の良さとしてこの様な姿が日々たくさん見られます。子どもたちの「素敵だな」と思う瞬間をこれからもどんどん見つけていきたいと思います。幼児組 佐々木 舞