2歳児りす組の子どもたちは、絵本を読むことや見ることが大好きです。中でも歌いながら見る絵本は大人気です。子どもたちも絵本に合わせて歌いながら楽しんでいます。そんな子どもたちの好きな絵本の1つ、「はらぺこあおむし」のお話を紹介したいと思います。保育士がはらぺこあおむしの絵本を読んでいると、その音楽に惹かれるように集まってくる子どもたち。その姿を見て保育士の家にある檸檬の木にいた幼虫の事を思い出しました。子どもたちにも、本当のはらぺこあおむしを見てもらいたいと感じ、翌日まだ小さな幼虫を保育室へ持っていきました。
はらぺこあおむしの絵本を読んで「りす組さんにもあおむしの赤ちゃんがきたよ」と伝えました。子どもたちは遊びの中で「あおむしさん見たい」と興味を持ちました。小さな黒い幼虫が少しずつ大きくなり、脱皮を繰り返し、あおむしになる姿を見ていました。
ある日、子どもたちが緑色のあおむしを見て「おなかはぺっこぺこー」と歌いだしていました。するとその歌声は周りにいた子どもたちにも届き、次々とあおむしを囲みながら合唱が始まりました。そんな子どもたちに見守られながら、小さかったあおむしは絵本と同じように沢山食べて大きくなりました。「もうあおむしははらぺこじゃなくなりました。ちっぽけだったあおむしがこんなにおおきくふとっちょに」と絵本のフレーズにあるのですが、りす組のあおむしもさなぎになったのです。子どもたちはあおむしが時々虫かごの蓋の裏にくっついている動かなくなった様子を見たり、アゲハチョウの絵本を見て「おんなじだ!」と確認していました。それから何日かしたある日のお昼寝の間ににきれいなチョウチョになっていましたので、帰りの会でチョウチョになった事を話しました。その後、子どもたちと相談し、アゲハチョウは逃がしてあげることにしました。
いよいよ旅立の時がやってきました。アゲハチョウのお別れの時を知り、虫かごに向かってバイバイと手を振る子どももいました。子どもたちが虫かごにを覗きこむ中、アゲハチョウは空高く園庭の桜の木の方へ旅立っていきました。
夕方、子どもたちが遊んでいるとアゲハチョウの姿が見えました。「みんなのアゲハチョウかな。会いに来てくれたのかな」などと話しました。まだまだちいさな子どもたちではありますが、興味のある事柄から実際に体験し、いのちの大切さや自然との関わり方を知り学びにつながるような経験の1つになってくれたらと思います。大人たちが伝えていくことだけでなく、子ども自身が身の回りの自然に触れて、美しさや探求心を育てていくことで限りある自然を守り大切にしていきたいという気持ちを未来に届けていきたいです。 りす組 中川 智香子